韓国と台湾は戦前、日本の統治下にあったという歴史を共有する。朝鮮日報は台北特派員発のコラムを掲載。

この中では「台湾は2025年にも依然として『反日』や『抵抗精神』に焦点を合わせている韓国とは異なり、非常に実用的な歴史認識だ」として、「台湾の事例を検討してみるのはどうだろうか」と呼び掛けた。

コラムは台湾・台南市にある国立台湾歴史博物館の日本植民地時代を扱った展示内容を見て「非常に驚いた」と紹介。「韓国ではいわゆる『ニューライト史観』と呼ばれる植民地近代化論に基づいた内容が大半だった。植民地時代に台湾の教育、公衆衛生、交通インフラなど社会の各分野の水準がどれだけ上がり、また農林水産業の生産量がどれだけ飛躍的に増えたのかといった内容が堂々と展示されていた」とした。

続いて「台湾が韓国に比べ日本に友好的な感情を持っていることは知っていたが、国立博物館でこうした展示を行っても全く論議を呼ばないという事実は見てもなお信じられなかった」と記述。「歴史が似ている台湾と韓国だが、日本による植民地時代になぜこれほど違った見方をするのだろうか。韓台がこの時期を解釈する上で何に重心を置いているかが如実に表れているようだ」と述べた。

そして「台湾は当時の日本が急速な西欧化・近代化で西洋列強に匹敵する富国強兵を成し遂げたという事実に注目する」と論評。「国の暗い歴史を振り返る際、功罪を正しく区別して指摘できる議論の場が韓国より広く形成されているという事実がうらましかった」と嘆息した。

さらにコラムは「台湾人の調和の取れた実用的な歴史認識が目立つ場所がもう一つある」として、台湾(中華民国)の初代総統蒋介石を記念するために台北市内の中心部に建設した巨大建築物「中正紀念堂」に言及した。蒋介石は台湾で進む歴史論争の中心にいる人物で、台湾の共産化を阻んだ国父という評価と長期政権を維持するために自国民数万人を殺した独裁者という評価が交錯する。

コラムは「韓国であればこんな施設はとっくに撤去されていただろうが、台湾の革新政権は蒋介石の銅像の視線が向いた正面にある牌楼に『自由広場』という文字を刻む折衷案を取った」と説明。

「国父としての象徴性は残し、権威主義政権が再び出現してはならないという厳重な警告をそこに刻み込んだのだ。相反する歴史観が衝突する空間を多様な意見が共存可能な特別な場所に変貌させた彼らのアイデアに感嘆した」と評価した。

最後にコラムは「韓国与党・共に民主党の反米・反日基調のため、最近韓国を見つめる周辺国の視線は非常に不安だ」と危惧。「李在明(イ・ジェミョン)大統領は『実利外交』を主張し、そうした懸念を払拭しようとしているが、民主党の主流勢力と距離を置き、独立した歩みが可能かは未知数だ。偏狭で硬直した態度を固守するだけの政府ではないというメッセージを伝え、互いの違いを尊重する大統合を図るために、台湾の事例を検討してみるのはどうだろうか」と訴えた。(編集/日向)

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