2025年7月24日、上海瑠璃博物館が展示物を壊す子どもの映像を繰り返し流しているとして、物議を醸している。上游新聞が伝えた

中国のネットユーザーがSNSに上海市宝山区の上海瑠璃博物館を訪問した時に撮影した展示物の写真を投稿した。

写真には「折」という題名の天使の羽を模した非対称の形状の美術品の隣に動画を流しているモニターがあり、13年に4~5歳くらいの男児2人が勝手に観覧エリアを越えて展示スペースに侵入し、この美術品に手で触れたことで、美術品の一部が滑落し破損した時の監視カメラの映像が繰り返し流れていたという。

この投稿に対し、他のネットユーザーからは「5~6年前に行ったことがあるが、まだあったのか」「保護者は弁償したのかな」「16年にこの作品を見たけど、もともと非対称の作品だと思ったらそんなエピソードがあったのか」「春の行楽シーズンの前に先生がこの話をしていたから、作品と動画を目当てに見に行った」など3000件以上のコメントが寄せられた。

博物館が展示物を壊す子どもの映像を繰り返し流し物議―中国

上游新聞の記者が上海瑠璃博物館を取材したところ、「折」はもともと「天使が待っている」という作品名で、女性芸術家の薛呂(シュエ・リュー)氏が12年に娘の誕生を祝って制作したガラス工芸品だったが、13年9月に人為的な原因で一部が損壊してしまった。作品自体は特殊な焼き方で成形されており、一部であっても損壊部分の修復は不可能だったが、最終的に観衆への警告のために損壊したままの作品を見せることで展示を継続するとともに、作品名も「折」に変更したという。

上海瑠璃博物館では20年5月にも追いかけっこしていた子ども2人が常設展示物のガラス彫刻にぶつかり、破損する事件が起きているという。この時に破損した作品は米国在住のガラス職人アリバス・ブラザースの「ファンタジー・キャッスル」で、ディズニーアニメのシンデレラ城を模したもの。価格は45万元(約900万円)、重量は60キロで、純金製の装飾を含む3万個のパーツを500時間かけて制作した作品だった。

上海瑠璃博物館の張琳(ジャン・リン)館長は取材に対し、「この録画映像と折れた羽、芸術家の感情を一緒に展示する方が教育的意義の高いものになると考えている」と回答した。このやり方に対し、中国のネットユーザーからは「トラブルを起こした子どもも自分たちが何をしたかは分かっているだろう」「子どもたちが将来良い観客に成長してほしい」など称賛するコメントが多く寄せられているが、「気まずいな」「展示期間がいくらなんでも長すぎる」との声もあった。

記事は最後に「上海瑠璃博物館は子どもを潜在的な破壊者として扱うのではなく、博物館の守護者になるよう導こうとしている」と指摘した。(翻訳・編集/原邦之)

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