高校在学中に「最強ゴスペル女子高生」としてTVやCMで注目を集めた鈴木瑛美子。 彼女の最大の武器はパワフルかつソウルフルなヴォーカルだ。


ゴスペルミュージックとともに育ち、子供時代はディズニー・チャンネルのドラマを通してマイリー・サイラスやデミ・ロヴァートの歌と出会った。そんな彼女が作詞・作曲を手がけた2曲入りデビューシングル『FLY MY WAY/Soul Full of Music』は、本人いわく「自分のすべてを出した」曲である。現在20歳の鈴木を形成してきたものは何だったのか、その背景を取材した。

―車でお姉さんがかけたクリスティーナ・アギレラのCDを聴いた時に、自分も歌手になってみようと思ったそうですね。

姉が高1で私が中1くらいの時ですかね。車でソウルフルな女性ヴォーカルの曲が流れて、後ろの席から助手席に座っていた姉に「誰これ!?」って聞いたらジャケットを見せてくれたんですけど、黒人の歌手だと思っていたらアギレラだったことにビックリして。
そこで歌い方に対する先入観みたいなものがなくなって、”こんな風に歌いたい! 自分でもできるかもしれない”っていう意識にバッと切り替わったんです。そこからはずーっとフェイクの練習をしたり。あと映画『ドリームガールズ』の「I AM CHANGING」のジェニファー・ハドソンの口の開き方とか形を見て、声の出し方をマネしてみたりして。いろんなアーティストが私の先生なんです。

―耳がいいんですかね。

それはあるかもしれないです。
中学生の時に英語の弁論大会で千葉県代表として全国大会(第65回 高円宮杯全日本中学校英語弁論大会)に出場したことがあるんですが、その時もかなり音から覚えたところもありました。

ーゴスペル・ディレクターの父とシンガーでもある母と姉。音楽一家に育った瑛美子さんですが、家族からアドバイスをもらうことはありますか?

アドバイスとは違いますが、感覚的に話す私の説明を聞いて、父が専門用語を使って私が何を言おうとしているのか教えてくれることはあります。翻訳みたいな感じですね。そういう方法で知識をくれたりはしますけど、今まで歌の技術的なアドバイスに関しては特になかったと思います。

―天才ですね!

いえいえ、とんでもない……天才ではないです。
努力したという自覚もなくて、好きなことを地道にやってきたから今があるんだと思います。できないことをできるようになるために研究したりすることも、すべて楽しんでやってきました。

―客観的な意見が欲しい時はどうするんですか? 例えば自分の歌を動画で検証したりとか。

こういう歌い方をしたいとか他の歌手の動画をみて研究はしてたんですけど、自分自身のチェックは歌っている時の感覚でとらえていて、まず人に聞く前に自分でどうしようって考えて行動しちゃいます。

―とはいえ、自分からは求めてないけど周りが言ってくる時もあるから、そういうのはアドバイスの一つとして参考までに聞くという感じ?

はい、そうですね。その内容次第では、一番私の感覚を理解してくれている父に相談したりして、最終的には自分なりに検証してみて判断する感じです。


―なるほど。本当、自分のことは自分がよくわかってるっていうか。

曲中で、ここはこういう表現でとか、ここでこのテクニックを使おうとか、構成自体も自分で考えてデビュー前から歌って来ているので...そうなりますね。

「絶対にブレない軸として歌があった」

―デビューシングルの「Soul Full of Music」の曲の説明で「自分には男性の友達が多いけど、それに対してすごくネガティブなことを言ってくる人たちもいて……」とステージで話してましたけど、歌詞にも”男は男と遊ぶって誰が決めたんだ”とありますよね。音楽を通して自由な女性像を伝えたい!みたいな気持ちはあるんですか?

そこまで大きなテーマではないですけど、私が以前経験した事で、男女のジェンダーレス云々というよりは自由に生きていこうぜ!って感じた事があって、今回、「Soul Full of Music」は自己紹介的な曲で、私のわがままや子供っぽい主張を、大人っぽいビッグバンドのアレンジで表現するのが目的だったので、私はこういう考えなんです、って事で歌詞に入れ込んでみました。

―瑛美子さん自身はどうなんですか。
自分の性格的なところとか気質的なところで。実はすごく女の子っぽいところがある……みたいな。

めちゃくちゃあります。甘えん坊っていうか、寂しがりやっていうか…女子!ってところもある一方で、大胆なところは「男っぽいよね」って言われることも。でも自分自身が女子っていう意識があるから、敢えて「男っぽくいたい」と思っているところもありますし、どちらも持っていると思います。

―でもそういう考えって、自分の歌手としての在り方もそうだけどこれっていう枠を作るよりは、いろんな方向に行きたいっていうのもあったりするんですか。


もともとは音楽以外に、絵が好きだから画家になりたいとか、写真を撮るのが好きだからカメラマンになりたいとか、昔からやりたいことがたくさんあって、そんな中で絶対にブレない軸として歌があったんです。これからも、絵を描いたり、写真を撮ったりは続けていって、何か形にすることが出来たらいいなと思ってます...あっ、あと映画も大好きで感想を書いてInstagramに投稿してるんですけど、ネタバレせずにどれだけ興味を持ってもらえるかっていうのを誰かから頼まれたわけでもなく一人でやってるんですよ(笑)。あと、音楽に関しては一つのジャンルじゃなくて、いろんなジャンルを歌っていきたいです。決められた形にとらわれないで、いつも無限の可能性をもって、鈴木瑛美子っていう新しい形が作れたらいいなと。

ーミュージカルもその一つですよね(2020年3月に上演されるミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~』に出演することが決まっている)。

はい、いろんな事に挑戦できる環境を作ってもらっているので、歌を軸にして、その他の好きな事も全部形に出来たら最高だなって思っています。

鈴木瑛美子
高校在学中、数々のTV番組、CM出演で話題を集める。映画主題歌にも抜擢され、亀田誠治とのコラボ曲もリリースされるなど、デビュー前のシンガーとして異例の実績を残す。
https://avex.jp/suzukiemiko/

鈴木瑛美子、ゴスペルと洋楽を愛聴し、自分で作った「自由な形」

『FLY MY WAY/Soul Full of Music』
鈴木瑛美子
エイベックス
発売中