アメリカ・カリフォルニア州出身のアーティスト、ジンジャー・ルート。中華系アメリカ人の3世である彼は、コロナ禍中に山下達郎、細野晴臣、大貫妙子、竹内まりやを始めとした日本の音楽やアニメ、映画などのポップカルチャーに出会い、心酔。この3年間で日本語も勉強し、今では取材を受けられるまでの流暢さになった。テレビや雑誌などで「昭和レトロを現代に甦らせる外国人」というような切り口で彼を紹介する記事や映像を目にした人も多いだろう。
そんなジンジャー・ルートが9月13日にリリースした3rdアルバム『SHINBANGUMI(新番組)』は、彼の言葉を借りれば「自分を救ってくれた」という日本の音楽やポップ・カルチャーへの深い愛とリスペクトを捧げつつ、ポール・マッカートニーからYMOに至るまで、彼が幼い頃から親しんできた多種多様な音楽からの影響を昇華させた、ジンジャー・ルートを自ら再定義し、宣言するようなマニフェスト・アルバムに仕上がっている。
日本とアメリカの二カ国を跨ぎ、レコーディングされた本作はいかにして「Nisemono(偽物)」ではない、オリジナルでユニークなジンジャー・ルート流のポップ・ミュージックとして結実したのか。また「自分のものではない」日本のカルチャーやイメージを彼がクリエイティブで扱う際に心がけていることとは。初夏に来日し、日本全国を飛び回ってプロモーションとミュージック・ビデオ撮影に勤しんでいたジンジャー・ルートに話を訊いた。
初めて日本を訪れたときの「特別な瞬間」
―お久しぶりです! ジンジャー・ルートさんに直接お目にかかるのは、去年撮影したCHAIのMV(2023年リリースの「Game」。ジンジャー・ルートが監督、筆者は美容室で髪を切られる謎の男役で出演した)のとき以来ですね。いつ日本にいらっしゃったんですか?
ジンジャー・ルート(以下、GR):うわっ、久しぶりですね(笑)! まさか、こんなかたちで再会できるとは。日本には先週来ました。1週間で福岡、広島、大阪、名古屋を訪れて、アルバムとツアーのプロモーションをしました。ありがたいことにラジオ、新聞、雑誌と沢山のメディアに取材してもらって。このあと、もうしばらく滞在して『SHINBANGUMI』の楽曲のミュージック・ビデオを撮る予定です。
―うわあ、大忙しですねえ。ジンジャーさん、本当に日本人から好かれてるし、興味関心を持たれてますよね。来年1月にはジャパン・ツアーも行われますけど、結構な規模じゃないですか。
GR:いや、本当に嬉しいし、ありがたいことです。
―早速アルバムのお話を伺っていきましょう。
GR:2020年にリリースした前作『Rikki』は結構、自信がある作品だったんです。世界中のリスナーにジンジャー・ルートを知ってもらえるきっかけになるアルバムだと思っていたんですけど、残念ながらコロナ禍が起きてしまって、ツアーもプロモーションも満足にできなかった。あ、だから、僕はあの作品のことを「失われたレコード」と呼んでいるんですけど(笑)。
その後リリースした『City Slicker』(2021年)と『Nisemono』(2022年)は、公園で子どもが遊んでいるような気分で、自由にただやりたいことをやってみようと思ってつくった作品でした。失敗を恐れずに新しいことに挑戦しよう、と。この2枚のEP制作プロセスを経て、ジンジャー・ルートとはどんな存在で、どんなサウンドなのかがやっと自分の中で固まってきたんです。
―自分自身が何者なのか自信を持って宣言できる準備ができた、と。
GR:まさにそうで。だから、今回の『SHINBANGUMI』は「これがジンジャー・ルートだ!」と改めて堂々と宣言するような作品なんです。まあ、僕は他人のことを書くのが苦手なので、ずっと自分のことについて書き続けてはいるんですが(笑)。
―音楽を始めた頃から今に至るまで、人間として特に変わった部分はどこですか?
GR:2017年に初めて音楽をYouTubeにアップロードしたときは、正直、音楽でここまでやれるなんて思ってもみなかったですね。多くの人が僕を見つけてくれてファンになってくれたことで、ここまで続けてこれた。当時の僕と今の僕は全然違う人間だと思います。正直……ずいぶん大人になった気がします(笑)。自分が好きなものや守りたいものが何かがはっきりしてきた気がするし、同時に自分の嫌なところや治さなきゃいけないところにも気づきました。
ジンジャー・ルート名義で初めてアップしたMV「Brooklyn」(2016年の年末公開)
―この3年間の中で特に印象的だったできごとを教えて欲しいです。
GR:一つは、あるバンドのオープニング・アクトを務めたときのこと。僕とは全然音楽性が合わない人たちだったから、ファンの客層もステージから見ていてわかるぐらい違ったんだけど、面白かったのは、僕らの演奏が終わったら冗談抜きでオーディエンスの6割ぐらいが帰っちゃったんですよ(笑)。ライブ中も「Loretta」を大声でみんな歌ってくれて……さっき言ったように僕は『Rikki』のことをロスト・レコード——正直言って失敗作だと思ってたんだけど、僕らがアルバムの曲を演奏し始めたら、熱狂してくれたんです。
―ゆっくりで、大丈夫ですよ。
GR:すみません、自分の中ですごく大きな出来事だったので、感情的になってしまってちゃんと話せるかどうかわからないんですが……2023年に初めて日本に来た時の話なんですけど、高円寺に行こうと思って中央線に乗っていたんです。お昼ぐらいの時間だったのかな。綺麗な冬の太陽の光が車内には差し込んでいて。とても静かで、時折、アナウンスや子どもの喋り声が聞こえるだけ。僕はiPhoneを取り出して、コロナ禍のときに聴いていた日本の音楽を集めたプレイリストを再生し始めました。何曲か聴いた後で、ハッと雷に打たれたような衝撃を覚えて。「今、僕は普通に”ここ”にいるけれど、これって実はすごいことなんじゃないか」って、思ったんですね。
そもそも、僕が日本の音楽に出会ったのはコロナ禍がきっかけで。
過ごしてきた時間や自分の今の状況について考えていたら、すごく感じ入ってしまって……電車の中で涙が止まらなくなってしまったんです——あれは、本当に特別な瞬間でした。自分はすごく幸運な人間だと思ったし、同時に誇らしくも感じました。
愛とリスペクトから構成される「自分らしさ」
―そういう人生の奇妙さ・素晴らしさを実感するような圧倒的な経験って、自分自身を考え直すきっかけになりますよね。日本をそんなに愛してくださって、本当にありがとうございます。めちゃくちゃいい話をしていただいたので、もうここでインタビュー終わりでもいいのかなとか思っちゃったりもするんですが……でも、素晴らしいアルバムだったので、ぜひお話しを聞かせてください。
GR:ははははは。もちろん、もちろん(笑)。
―『SHINBANGUMI』というタイトルには、どんな想いが込められているんでしょうか? そもそもなぜ自分自身を宣言する作品に日本語のタイトルを選んだんですか?
GR:自分は中華系アメリカ人の3世で、日本人でもないし、日本に住んだことすらない。でも、日本の音楽や文化が大好きだし、共感する部分が多い。
―少しタフな質問をさせてもらうと、あなたはそうした心の底から愛する日本の文化を「自分のもの」だと思っていますか?
GR:素晴らしい質問だと思います。聞いてくれて、ありがとう。日本のメディアのインタビューではこうした質問を聞かれることはなかったから、ちゃんと説明させてください。まず、結論から言うと、僕は日本の文化を自分のものだとは思っていません。そして、いつも自分は日本の文化から影響を受けているだけで、その文化の代表者ではないという地点に立って、日本のイメージを捻じ曲げたり、雑に扱ったり、損ねたりすることのないように細心の注意を払って、正確にオマージュを捧げようと努力しています。
特にアメリカという国は日本だけじゃなく、アジア圏の文化を表象として扱う時に非常に不誠実なところがあります。表面的な部分だけだったり、ステレオタイプなイメージだけを、いつまでも利用し続けている。「新幹線」や「芸者」や「お箸」や「忍者」のような日本文化の奥深さを表すには不十分なアイコンをビッグ・アーティストたちが何のリスペクトもなく軽率に使用しているケースは多いです。
日本人からしたら僕も同じことをしているように見えるかもしれないけれど、さっきも話したように、自分は辛かった時期に日本のカルチャーに救われたので、僕の気持ちとしてはただ「こんな文化があって面白いし、素晴らしいよ」と紹介するだけじゃなくて、個人的な感謝と敬意の気持ちを表したいと思って、ものづくりをしています。
―ありがとうございます。その深い愛とリスペクトが伝わっているからこそ、ここ日本には多くのジンジャーさんのファンがいるんだと思います。ジンジャー・ルートというプロジェクトは、特に日本で紹介される時はシティ・ポップと関連づけられた文脈で語られることが多いと思うんですけど、この『SHINBANGUMI』は驚くほど、いわゆるシティ・ポップではないですよね。
GR:いや、そうなんですよ。わかってくれて、嬉しい。前の作品のときも、アメリカのメディアでは「めちゃくちゃいいね。山下達郎さんみたいだね!」って言われたりして……「本当に聴きました?」って、ちょっと思った(笑)。もちろん光栄なことなんだけど、髪の長いアジア人っていうイメージだけで、そう言ってるんじゃないのかなあ(笑)。まあ、でも『Mahjong Room』はヴルフペックに影響を受けてるし、『Rikki』は達郎サウンドを目指した部分はあるから……仕方ないっちゃ仕方ないんですけど。
―すべての新しい文化は様々な影響源を折衷的に編み合わせて、織り重なる文脈の上に生まれるものだと思うんですが、特にこのアルバムにおける影響源はなんでしたか?
GR:『SHINBANGUMI』はテーマだけじゃなくて、音楽的にも何かや誰かになろうとしたアルバムじゃないんです。自分が好きで影響を受けてきたものを全部詰め込んで、全く新しい「自分らしさ」を追求した作品で。ザ・ビートルズ、ポール・マッカートニー、スティーリー・ダンにホール&オーツ、DEVOにB-52s、エレクトリック・ライト・オーケストラにYELLOW MAGIC ORCHESTRA、大貫妙子、竹内まりや、そしてヴルフペックと山下達郎——リストは延々と続くけれど、こうした敬愛する素晴らしいアーティストたちの音楽を聴きながら僕は育ってきて、自分という人間は構成されている。その顕れがこのアルバムであると言えると思います。
―自分としても、まさに仰っていただいた通りのリスニング体験でした。清涼感のある「No Problems」は70年代の西海岸の雰囲気が出ていて。くぐもったサウンドの「Better Than Monday」はインディー・ロック。「All Night」はディスコ・ナンバー。「Only You」と「Show 10」にはAORやシティ・ポップ的なフレイバーが。今挙げてもらったアーティストで言うと「Giddy Up」はホール&オーツ風だし「Then There was Time」と「Take Back」からはマッカートニーの影響を感じます。
GR:おおむね、受け取ってもらった通りで間違いないと思います(笑)。「Giddy Up」は「DEVOがもしCMソングを作ったら」というテーマで作った曲で、そこにホール&オーツのエッセンスを入れた感じです。
商店街、夜の浅草、細野晴臣との邂逅
―このアルバムは、日本とアメリカでレコーディングされてますよね?
GR:そうですね。結構、日本でレコーディングしている曲も多いです。「Show 10」はアメリカでデモを書いて、日本で完成させた曲です。この曲は結構思い入れが深くて。5分と長いし、アルバムに入れようかどうか迷ってたんですよ。代わりになりそうな曲がほかに4曲ぐらいあったんですけど、デモを聴きながら日本の商店街を歩いてたら、すごくその風景と合っていて、インスピレーションを感じたんです。で、一気に作業して翌日には完成させて。
だから「Show 10」ってその商店街のことなんです(笑)。あと、英語では百点満点みたいな意味合いの「10 out of 10(10点満点)」という慣用句があって「完璧なショー」というダブルミーニングにもなっています。この曲にはアルバムでやりたかったことのあらゆる要素が少しずつ入っていて『SHINBANGUMI』という作品のコンセプトを最も的確に表している楽曲だと思います。
―レコーディングにおける、印象的なエピソードはありますか?
GR:なんだろうな……あ、そうだ。アルバムに「Kaze」という曲があるんですけど、あの曲のドラムとパーカッションは浅草にある古いスナックで録音したんですよ(笑)。
―スナックですか? なんでまたそんなところで?
GR:日本でツアーをやった後に、しばらく浅草に滞在していた時のことなんですけど。ある日、夜遅くにディナーを食べに行こうと思って街に出たら真っ暗でどこもやっていなくて。仕方なく、唯一やっていた餃子バーみたいなところに入ったんです。でも、餃子を食べ終わる頃には「もう今日は帰って寝たい。誰とも話したくない」って、結構うらぶれた気持ちになってて(笑)。そしたら、隣に座っていた男性が急に携帯電話を見せてきたんですよ。画面にはSpotifyが表示されていて、僕の顔が写っていたんです。「今ちょうど君の曲、聴いてたんだよ。君は……ジンジャー・ルートだ!」って大興奮(笑)。店のマスターをつかまえて、スピーカーで曲を爆音で流し始めて……正直、すごく恥ずかしかった(笑)。その人が「もう一軒、いきましょう!」って、スナックに連れて行ってくれたんですよね。一晩中、カラオケを歌って本当に楽しかったし、嬉しい経験でした(※そのときの動画はこちら)。
「Kaze」のレコーディングをしようってなったときに、そのスナックにドラム・セットが置いてあったのを思い出したんです。Instagramで連絡を取ったら「全然いいですよ」って言ってくれたので、飲み代と同じぐらいの100ドルをお支払いして使わせてもらったって感じでした。そのドラム・セットは本当に古い楽器で、多分、細野(晴臣)さんと同じぐらい年を重ねてるんじゃないかなって感じのいい年季の入ったものでした(笑)。
―「Kaze」では、日本語で歌唱もしていますね。「Loretta」の日本語バージョンも以前リリースしていましたが、英語の元の詞がないという意味では初の挑戦で。「風」という単語は、ジンジャーさんが敬愛する細野晴臣さんがメンバーだった、はっぴいえんどや作詞家・松本隆さんにとっての重要なキーワードでもありましたが。
GR:「Loretta」の日本語バージョンは……まだ日本語を勉強し始めて4カ月ぐらいしか経っていない段階で書いた歌詞なので、超初歩的なものなんですよ。今のある程度、日本語が扱えるようになった自分が日本語で歌詞を書いたらどうなるんだろうと思ってつくったのが「Kaze」で。今言ってくれたように、はっぴいえんどや細野さんの遺伝子を継いでいる曲ですよね。「風」がかれらにとって重要なワードであるということも知っていました。
アメリカでは、エレクトロニカやアンビエントな細野さんのサウンドを真似しようとする人はたくさんいるんですけど、ティン・パン・アレーや細野さんの初期のソロ作のようなトロピカルなサウンドをやる人はいなくて。じゃあ、僕がやろう、と(笑)。
ジンジャー・ルートのInstagram(@gingerrootmusic)より引用
―ちゃんと深く勉強してらっしゃるんですね。愛とリスペクトをもって……という言葉は伊達じゃない。昨年、細野さんのラジオ(『Daisy Holiday』)にも出演してらっしゃいましたよね。
GR:そうなんです。めちゃくちゃ緊張しました。細野さんはすごく優しいけれど、それだけじゃなくて、切れ味も鋭い方で緊張しましたね。ソファの隅に座って、タバコを吸って、たまに顔を上げてこちらを見るんです。「フジロックでライブをやるんですけど来てもらえませんか?」って言ったら、疲れたような微笑みを浮かべて「もうおじいさんだから……山はキツいかな。また今度ね」って言われて(笑)。めちゃくちゃカッコよかったし、ユーモラスな人だなあって感動しました。
細野さんもそうですけど日本に来るたびに、竹内まりやさんや大貫妙子さん、KIRINJIさんのような自分が憧れた伝説的なミュージシャンたちに会うことができていて、本当に自分は幸運だな、と。カリフォルニアから来たよくわからないガキンチョに貴重な時間を割いてくれるなんて、みなさん本当にいい人たちで……大阪で大貫さんのライブを観た時なんか、ずっと泣きっぱなしでしたよ。何年も聴いてきた彼女の歌声を生で聴くことができたんだから!
※本記事の取材後、ジンジャー・ルートと細野晴臣は今年7月に『Daisy Holiday!』で再び対面した
中華系アメリカ人としてのルーツにどう向き合うか
―MVについても伺いたいのですが。『Nisemono』や『City Slicker』の時は、日本の80年代のドラマやコマーシャルのパロディのような内容だったと思うのですが、今回は日本的な要素もありますけれど、レトロなアメリカのシチュエーション・コメディを彷彿とさせるようなビジュアルになっています。この点も、先ほどおっしゃっていた「自分自身を表したものである」というアルバムのテーマを表現したものになっていると思ったんですが。
GR:ああ、そうですね。そのバランスはかなり意識しました。「No Problems」はハーフ・アンド・ハーフで「Better Than Monday」はとてもアメリカ的。逆に「There Was A Time」は、日本的なイメージのMVになってます。「Better Than Monday」で僕は自分のTV局を設立するじゃないですか? そのTV局で放送されるテレビ番組が「There Was A Time」って感じです。自分なりの『スケバン刑事』をやってみました(笑)。それぞれのMVはドラマ・シリーズのエピソードのようなもので。続けて観れば、ストーリーがつながるというような構成でつくっています。
―「No Problems」のMVでは、編集も音楽制作もすべて自分でこなそうとしている、ワンオペ業務に挑戦するジンジャーさんの姿が描かれていますが、これはジンジャーさんの現実世界でのインディペンデントなアティチュードを表しているようでもありますね。
GR:でもMVを観て貰えばわかるけれど、僕は全部を自分でやろうとして、すべて破綻しちゃってるんですよね(笑)。だから「Better Than Monday」ではチームを雇っていて。現実世界でも似たようなものですね。クリエイティブな面は基本的に自分一人でやるけれど、ラジオ局の人に曲を売り込んだり、ツアーをブッキングしたり、音楽活動に伴うすべてを一人でやることはできない。チームが必要なんですよ。僕とヴィジョンを共有してくれて、何かがうまくいかなくても助けてくれる、チームへの感謝の気持ちは常にあります。
―今作で「新しい自分」を宣言したジンジャー・ルートは、次はどこに向かうのでしょうか?
GR:そうですね。次のレコードは自分のルーツに立ち返りながら、日本的な要素も取り入れた作品になりそうです。これまでなかなかそこに向き合ってこなかったのって、子どもの頃のトラウマみたいな経験が影響していて。自分の直接的なルーツだから余計にそう思うのかもしれないけれど中国の文化圏って、少しだけ冷たい気が僕はしていたんですよ。子どもの頃はアメリカ育ちだから、中国に行った時に中国語が喋れないことで、「中国人なのに、自分のルーツの言葉も喋れないの?」って言われたりすることもあって……中国語を学ぼうという気にはなかなかなれなかったんです。対して、日本では外国人ということもあって、ちょっとでも日本語で何かを喋るとみんなが喜んでくれたり、温かく接してくれたりするので……より親近感が沸いたんですよね。
でも、日本と中国の文化は深く繋がっているじゃないですか。交わるポイントが何か見つけられそうな気がしているんです。そこを深く掘っていきたいと思いますね。子どもの頃から中国の映画もたくさん観ていたし、武術も習っていたから……それもヒントになりそうな気がしています。
―来年1月には福岡・広島・大阪・名古屋・東京を廻るジャパン・ツアーが行われる予定ですが、このアルバムをライブで再現するとなるとなかなかサウンド的にも演出的にも濃厚なものになりそうですよね。
GR:いや、まさに。お金とか技術とか規模的な事情で今までできなかったことに挑戦したいなって思っています。大きなステージだからこそできるような没入感のある演出をやってみたいんです。ジンジャー・ルートのMVの世界に入り込んだような……「十番テレビ」のスタジオに来たような気分になれるようなものをやってみたいな、と。映像やセットやパフォーマンス、すべてが有機的に絡み合って『SHINBANGUMI』の世界観を表すようなものにしたいです。
―今からどうなるのかめちゃくちゃ楽しみです。本当に今日はありがとうございました。
GR:(日本語で)ありがとうございました!
ジンジャー・ルート
『SHINBANGUMI』
発売中
日本盤CDボーナストラック収録
日本盤詳細:https://bignothing.net/gingerroot.html
再生・購入:https://ghostly.lnk.to/Ginger-Root-SHINBANGUMI
『SHINBANGUMI JAPAN TOUR 2025』
2025年1月10日(金) 福岡 Zepp Fukuoka
2025年1月12日(日) 広島 BLUELIVE HIROSHIMA
2025年1月14日(火) 大阪 Zepp Osaka Bayside
2025年1月15日(水) 愛知・名古屋 Zepp Nagoya
2025年1月16日(木) 東京 Zepp DiverCity ※SOLDOUT
2025年1月17日(金) 東京 Zepp DiverCity ※追加公演
※全公演オープニングアクトあり(後日発表)
公演詳細:https://www.livenation.co.jp/gingerroot-2025