また、「POP YOURS」では毎年オリジナルのコラボソングを制作している。今年は、LANA、Elle Teresaの”こんな日は”(Prod. by STUTS & ZOT on the WAVE)、Kianna、HARKA、AOTO、Sieroの”STARLIGHT”(Prod. by KM)、Daichi Yamamoto、MIKADO、NENEの”違う”(Prod. by KM)、Mall Boyz (Tohji, gummyboy), BIM, kZmの”246”(Prod. by Chaki Zulu)という4曲。発表後すぐに話題となったこれらの楽曲が、どのような形で披露されるのかも観客の楽しみだ。高品質なサウンド、大胆な映像、圧巻のライティングが生み出すハイクオリティなライブを体験したのは、3日間合計で約45,000人。YouTubeでも無料生配信され、視聴回数は合計約230万回にのぼった。オフィシャルレポートを掲載する。
【画像】「POP YOURS 2026」ライブ写真(全225枚)
LANA photo by Taio Konishi
DAY1で一際輝いていたのはLANAだ。「POP YOURS」のヘッドライナー最年少。かつ女性アクトとしてはAwichに続いて2人目。
LANA photo by Masato Yokoyama
オープニングDJは世界で活躍するnasthugが担当。幕張メッセの1-3ホールを横断して設営された巨大なメインステージから、ヒップホップを軸にさまざまなサウンドをミックスして観客をあたためた。一組目のPeterparker69は2023年の「New Comer Shot Live(以降、NCSL)」以来の出演。彼らは、エレクトロニカやダンスミュージックを自由に取り入れて表現している。メンバーのJeterは「ザ・ヒップホップじゃない自分たちが日本で一番大きいヒップホップフェスのトップバッターを務められることが本当に嬉しい。
VaVa(photo by Masato Yokoyama)
お昼帯のステージに立ったVaVaは、ウクライナのプロデューサー・Roland Jonesとコラボしたハードなフォンク”凍京”、”COLD BLOOD POWER”でライブをスタート。持ち前のポップさと圧倒的なライブ巧者っぷりで会場をひとつにした。SEEDAは、亡き同志たちに追悼を捧げたほか、PUNPEE(!)、Lisa lil vinci、jellyyを迎えた”SLICK BACK”、 Worldwide Skippaとjellyy、 VERRY SMoL、Siero、Reichiを呼び込んで披露した”RAPSTAR CYPHER”、Tee Shyneの乱入などサプライズを連発した。Pxrge Trxxxperは、FUJI TRILLをバックDJに、衣装、スクリーンの演出、ライティングなど一貫して悪魔的な世界観を表現。若きダークヒーローがハードなジャージードリル”DEATH NOTE”を叩きつける様は圧巻だった。
Bonbero(photo by Daiki Miura)
午後に入ってBonberoが登場。2024年のフェスオリジナルソングとしてJJJ、韓国のBLASÉと制作した”YW”をラップした。また2月にリリースした”Yarudake”には意外にも「POP YOURS」初参戦となるCHICO CARLITOとACE COOLを客演に。自由自在にラップを操る3人はまるで遊んでいるような笑顔で凄まじいスキルを見せつけた。スクラッチの音からスタートしたISSUGIは、バックDJをGRADIS NICE & DJ SCRATCH NICEに任せた。ISSUGIは会場大小問わず、いつも観客ひとりひとりにしっかりと語りかけるラッパーだ。
eyden(photo by Ray Otabe)
千葉出身のeydenは、今年「POP YOURS」と同日程で開催されているプロ野球イベント「BLACK BLACK」に向け制作されたKMプロデュースの新曲”HOMEBASS”をBonberoと共に歌い、地元をレペゼンするという意味で最高のヒップホップを体現した。Koshyは、スクリーンを巧みに用い、ヒットソングだらけのプロデュース曲のマッシュアップに加え、Sonsi、Watson、さらにシークレットゲストのBABYWOODROSEと共に激アツな宇宙旅行へとオーディエンスを誘った。STUTSがバンドと管楽器、弦楽器、ラッパーらと極上のハーモニーを奏でるSTUTS Orchestraは、人気曲”Presence”でBIMに加え、なんと中村佳穂も登場。彼女は前夜急遽出演が決まったという。
eydenが地元をレップしている裏で、Terminal 6 STAGEにはMIKADO、7、TOFU、HARKA、ENEL、six&CanDy、YJ EIGHT、ISAKITOKIAなど和歌山のラッパーたちが集結していた。6ホールに設営されたセンターステージはソファや彼らのフラッグが。JAY CORPSEのDJに合わせて入れ替わり立ち替わりマイクを握るステージにはクルーのかっこよさが凝縮されていた。ステージ名になった”I♡WAKA”をはじめ、7の”WAKA”、MIKADO、HARKA&ENELの”intro *GUNSO WALK”は合唱が巻き起こった。
kZm(photo by Daiki Miura)
メインステージにはkZmが現れた。彼はいつも観客のテンションのギアを上げてくれる。今年も「なんか俺の知ってる「POP YOURS」はこんな感じじゃないんだよな」と焚き付けて、ハードにリミックスされた”DOSHABURI”、”Forever Young”を投下して一体感あるグルーヴを作り出した。ここで小休憩。言葉にならない感情を情景描写に投影した”Blue×3”、”RED OCEAN”はしっかりとリリックを聴かせた。ダイナミックな新曲”Sugar Daddy Swag On”から最後は”Sagging My Jeans”でぶち上げた。全身黒のレザーでシックにキメたWILYWNKAは、kZmとはまったく異なるサウンド感だが、ラップのうまさと構成力の高さで観客をそのまま自分のグルーヴに乗せていった。
この時間帯のTerminal 6 STAGEではYENTOWNのDJ U-LEEがスピンしていた。1曲目はBUDDHA BRAND”人間発電所”! サイドマイクとしてMonyHorseもステージに上がり、日本語ラップクラシックに溢れたセットでフロアを揺らし続け、ラストには制作中の新曲もプレイされた。メインステージのトリ前にはGRADIS NICE & DJ SCRATCH NICEがプレイ。こちらは50Cent”In Da Club”やCam'Ron”Oh Boy ft. Juelz Santana”など00年代のUSクラシック中心の選曲。後半にはSCARS”MY BLOCK”やSWANKY SWIPE”愚痴か?否か?”といった日本のヒップホップもプレイしていた。
guca owlは”今夜はハダシで”などで大合唱を巻き起こした。これがいつもの「POP YOURS」の光景。同時に、guca owlが労働者階級を代表しているだけでなく稀代のメロディーセンスの持ち主であることを証明したステージであった。コツコツとヒールの鳴る音でライブをスタートしたElle Teresaは、”ラブ・デラックス”で瞬く間にメインステージをスウィートなムードに。ダンサーとの息の合ったダンスを交えながら、昨年の「POP YOURS」オリジナル楽曲でswettyと制作した”I JUST”など、次々にアンセムを投下する怒涛のパフォーマンスでヘッドライナーのLANAへとバトンを繋いだ。
2日目のヘッドライナー・千葉雄喜は、スクリーン全面に映し出された広大な宇宙をバックに”心臓”を静かに歌い始めた。「良かったらiPhoneのライトの光を見せてください」とビートレスの”もらいもの”へ。”流れる”にキーボード、”轍”にはギターも参加した。”生きるだけだな”ではヴォーカルに強烈なエフェクトをかけて、ステージをゆっくりと練り歩いた。アンビエントを彷彿とさせる、アヴァンギャルドな表現に圧倒されていると、SEが流れ出して、オーケストラバンドのメンバーが次々とステージイン。なんと総勢27名。けたたましいサイレンとともにオーケストラがすごい音圧でメロディを奏でて、千葉は「ぶち上がる準備はできてますか?」と叫んだ。「できてる人、両手を見せてください」という言葉を合図にフルオーケストラの贅沢な質感とトラップビートの低音が完全融合した”心配無用”を演奏した。圧巻の音像に観客は騒然となる。前半の千葉は”今しかいらない”と歌ったが、後半は素直に物欲を吐き出した。このように矛盾をありのまま表現したことに大きな意味がある。”重てえ”の前には御徒町のジュエリーショップ・GRILLZ JEWELZのアキ氏を呼び込んで特大チェーンを装着。ラストは全員参加の”チーム友達”で大団円を迎えた。
千葉雄喜(photo by Daiki Miura)
千葉雄喜(photo by Masato Yokoyama)
そんなDAY 2は1日雨模様だった。にもかかわらず会場にはオープンからたくさんの観客が詰めかけた。オープニングDJのeijinが強烈な低音を響かせると、幕張メッセはあっという間にグッドバイブスに包まれていった。2日目の一番手はralph。極上のベースミュージック・”Get Back”を叩きつけてから、「おはようございまーす!」と大きな挨拶をして緊張感漂う”Back Seat”へ繋げた。安定したラップスキルは今年も健在。このスケール感の会場でもびくともしない強度を見せつけ、VERRY SMoLをフィーチャーした新曲も初披露した。次のWorldwide Skippaは1曲目の”dont stop freestyle”から大合唱を巻き起こした。「イヤモニとかも初めてぐらいの感じですけど、まあ普段と変わらず、ここにいる全員が人種、性別、国籍、信条、出自問わずに安心して楽しめる場所にしたいと思ってるんで、みんなも同じ気持ちでいてくれると思います」と話し、フェスでこそ聴きたい名曲”俺が出るライブで痴漢したら殺す”を歌った。最初こそ緊張している様子だったが、観客からあたたかい後押しもあって素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。注目のManakaは”Tapping”や”Mawaru”といった初期の楽曲から、昨年発表したEPの収録曲”Bad+Sad Boi”、さらにSad Kid Yazとの”3AM”や、新曲”Look At Me Now”などを歌った。
「NCSL」2日目のトップバッター・Sad Kid Yazは、Manakaのライブにゲスト出演したときと衣装を変え、”昼はリーマン夜はラッパー”で軽やかにフレックス。Rama Panteraは”TwentyWhat”で若手随一と言っていいスキルの高さを見せつけ、YELLASOMAは”Off White”で地元、福島県相馬を力強くレペゼンしてみせた。
JUMADIBA(photo by Jun Yokoyama)
お昼帯に登場したJUMADIBAは、大舞台でも自身のスタイルを貫き、サッカーのチャントをサンプリングした”Spike!”をリアルなスタジアムアンセムとして鳴らした。JJJ『MAKTUB』のTシャツを着たSPARTAは、歌心に満ちたフロウでオーディエンスの心を掴んで離さなかった。OMSBが客演した”Life”では、苦しい日々の中に咲く希望を幕張全体にシェアした。
2日目の午後を飾ったのは、フェスオリジナル楽曲”STARLIGHT”のスペシャルパフォーマンス。KMのビートの上で、Kianna、HARKA、AOTO、Sieroという若き才能が競演! 火花が散るような刺激的なマイクリレーに観客は割れるような声援を送った。転換を経て、バイブス120パーセントのMasato Hayashiがステージに立つと男性たちの怒号のような歓声とともに凄まじいシンガロングが発生。そのエネルギーは”HIROYUKI”のフック「昔山の中でチャカをパンッ」で最高潮に達した。次に登場したYvng Patraは「POP YOURS」初のビートジャック企画「BOARDIN'」でカマした”Selfish BEATJACK”を生で披露した。しかもオリジナルをラップするRalphも参加。名曲”Selfish”に新たな角度を刻み込んだ。7は個性的なハイトーンヴォイスで観客を虜に。MIKADOとのWAKA流ナイトアウトアンセム”Flyday”では、スマホのライトに照らされるメッセに、「高級ディナーより仲間とピザ」というパンチラインの大合唱を響き渡らせた。
同じ時間帯のTerminal 6 STAGEでは「SEEDA × DJ ISSO × she's rough presents CONCRETE GREEN」が行われていた。she's roughはSieroをはじめ数々のラッパーをSoundCloudから発掘したキュレーターだ。時代を超えて、革命的なコンピアルバムプロジェクト「CONCRETE GREEN」とのコラボステージが実現した。Lisa lil vinci、jellyyら荒削りだが光るパワーを持ったフレッシャーズが次々とパフォーマンスした。続いて15時からはMARZYのDJタイム。フロア仕様にリミックスされた”DOSHABURI”、”Forever Young”、”力をくれ”をポジティブなマイクパフォーマンスを交えて次々とミックスしていった。さすがのDJプレイでフロアはあっという間にパーティーピープルであふれかえった。一方メインステージでは、現在のシーンのキーを握るプロデューサーチーム、DJ CHARI & DJ TATSUKIがMIKADO、Ryugo Ishida、Masato Hayashi、Tokyo Young Visionを引き連れてぶちかましていた。まさに幕張メッセはどデカいクラブと化していたのだ。
SALU(photo by Taio Konishi)
ヒップホップシーンで常に存在感を放つカリスマであるSALUは、3人のコーラス隊を引き連れ、すべての曲を情感豊かに響かせ、複雑な内面と向き合った優しい未発表曲”In My Yours”を披露してライブを締めた。DADAは、自身を突き動かす衝動や溢れ出る感情を、赤裸々に、唯一無二なロートーンのラップで吐き出す。DADAと同じくNokey Boyzに所属するtaro(実弟でもある)、AZUとのコンビネーションは言わずもがな見事だった。
Tohji(photo by Daiki Miura)
2日目のSPECIAL ACTはTohjiだ。転換中からフロアのあちこちでTohjiコールが巻き起こり、スクリーンでカウントダウンが始まると、期待感はピークに。Mall Boyz、BIM、kZmの4人がよく集まっていた場所が渋谷の246号線付近だったことから生まれたという”246”をはじめ、フロア沸騰必至のセットリストを届け、ラストはMall Boyzの新曲”MとBを”をプレイした。また、メインステージでのパフォーマンスを終えたのち、Terminal 6 STAGEで”Tohji Presents u-ha neo stage”を開催。kegønとSarenを中心に、彼らが信頼を寄せるアーティストが多数出演し、ヒップホップとダンスミュージック、オンラインカルチャーが交錯する、カオスでエネルギッシュな時空を発生させた。こうしてTohjiにとって最後の「POP YOURS」は終幕。幕張には高揚感と寂しさが入り混じっていた。
KM(photo by Ray Otabe)
昨年の「POP YOURS」でマイクを握ってエネルギッシュなパフォーマンスを見せたKM。今回はこのフェスと親和性が高い”Makuhari”、”Higher”、”明るい部屋”のKMリミックスをプレイした。またRyugo Ishidaを招いて、彼の名曲”YRB”をリミックス。SkaaiとLil'Leise But Goldとも”DANCELIXIR”を爆音でぶちました。Jin Doggは”ボケ死ね”、”GO SAD MAD”、”Flip”、”PRADA”とどんどん観客を煽っていき、”街風”でエモーションを大爆発させた。全ライン大合唱。これにはJin Doggも「毎年ヤバくなってます。ありがとうございました!」と納得の様子だった。パワフルなステージが続いたのちの出番となったBIMは”Bonita”で軽やかにスタート。本フェスの常連である彼は出演するたびにラップがうまくなっている。”DNA”にはPUNPEEが、”SHAMPOO”にはさらにElle Teresaと芸人のヤジマリー。も駆けつけた。ポップセンスとスキルに加え、真摯で柔軟な音楽への姿勢が表れたライブを見せてくれた。
Daichi Yamamoto(photo by Masato Yokoyama)
近年メキメキとパフォーマンス力を高めているDaichi Yamamotoは、1曲目の”なんとかなるさ”からフルスピード。スーパースキルを蹴った”スーパーレア”、新鋭Kiannaを迎えた”I can see”、KMとの”MYPPL”、STUTS on the WAVEの”Perfect Blue”などでさまざまな感情を表現した。JJJと制作した”ガラスの京都”は無数のスポットライトが交差する美しい光線の中で歌った。ラストソング”OTO”は自然と大合唱となった。次のKvi Babaはシンプルで大切なメッセージを気持ちのいいリズムとメロディで歌う天才と言っても過言ではないだろう。”Luv Myself”、”I Like It”、”Ms. U”など人気曲をしっかりと聴いて一緒に歌えるようになると、この時代に生きていくために大事な心がけを自然に内面化される。図らずも、DAY2にはそういったアーティストが集まったように感じた。
初の3日間開催となった『「POP YOURS」の大トリを務めたのは、アリーナ規模のワンマン公演をすでに幾度となく成功させてきたKEIJUだった。おそらくライブへの自信と、――KANDYTOWNのDNAとでも言おうか――クールであることへの高い基準によってプレッシャーを跳ね除け、”Hold You Down”、”LONELY NIGHTS”など輝かしいキャリアを彩るヒットソングの数々も、KANDYTOWNの面々(HOLLY Q、Gottz、IO、Ryohu)やKvi Babaを迎えた客演陣、オカモトレイジも参加するバンドとの華麗なコンビネーションも、KEIJUは涼しい顔でフロアに届けていった。この人は日本のヒップホップをどこまで大きくするのだろう。壮大なオープニングからエンドロールまで、最大規模となった今年の本フェスを締めくくるに相応しい、卓越したライブだった。
Kohjiya(photo by Taio Konishi)
Kohjiya(photo by Masato Yokoyama)
最終日のオープニングDJはuin。”STARLIGHT”や”明るい部屋”をはじめBAD HOPやJJJなど「POP YOURS」に由来のある楽曲をプレイして観客のテンションをぶち上げた。トップバッターのACE COOLは文学的な傑作『明暗』収録の”自尊心”からライブをスタート。日本語へのこだわり、高次元のラップスキルを巨大スクリーンも駆使してしっかりと表現した。ACE COOLは「広島から両親が観に来ています」と話す。多くの楽曲のフックでコールが起こった。ゲストは盟友・Jinmenusagi。引き算の美学を感じさせるライブの最後は7分におよぶ”明暗”をラップしきった。次は、「笑われに来たんじゃないぜ」でおなじみのラップするVtuber・ピーナッツくん。存在自体がポップな彼だが、”チャンチョと一緒に鳴らせ!808”でヒップホップの低音を支えている名器・TR-808の使用感を可視化するなど、年々アーティスト性が増しているようにも感じられた。lilbesh ramkoは巨大スクリーンが設置された本フェスの特性を最大限に活用して、VJと完全に連動したパフォーマンスを見せた。彼のバックボーンにあるナードカルチャーや孤独感などを視覚的にも表現することで、電子音楽やノイズがミックスした彼の楽曲に込められたエモーションを増幅させていた。
柊人(photo by Ray Otabe)
轟音のライブが続いた後、ハートウォーミングな歌とラップを聴かせたのは沖縄の柊人だ。サックスの音色でライブを始めると、ラストの”好きなこと”まで、ゲストなしで駆け抜けた。長崎県平戸市出身、沖縄在住のラッパー・Teteは「NCSL」から枠を広げて「POP YOURS」にカムバック。所属するRIVER SIDE HOLLYWOODのメンバーであるM.O.Cとの甘美な”Before Sunrise”を含むセットリストでハード&メロウな時間を創出した。最終日の「NCSL」では、まずKiannaがスピーカーが心配になるほどの爆音に激しくライドすると、11は落ち着いたステージングとソウルフルな歌声で幕張に珠玉のR&Bを届け、ネクストブレイク必至のHARKAが切れ味鋭いラップでフロアを光の海に変えてみせた。
Jellyyabashi(photo by Taio Konishi)
日曜の午後1時の「POP YOURS」には、紫煙が立ち上る。Jellyyabashiは神奈川・横須賀を拠点にするクルー・YOKOSQUADのメンバー。冒頭の”Tetris”から暴力的なトラップ~レイジサウンドでメインステージのエリアを支配していく。その後も、JuggrixhSentana、CFN Malikを含む仲間たちとステージに上がり、マイクで横須賀をレペゼンした。次は、福岡アンダーグラウンドのトラップスター・Yvngboi Pがステージに。彼が幕張に持ち込んだのはストリートのリアルと爆発的なラップアンセムたちだ。Yvngboi P、Lunv Loyal、YTG、Deechが揃って初披露された昨年屈指のバンガー”Big Step”ではフロアを熱狂の渦に落とし込んだ。この時間帯を締めたのは、昨年自身のレーベル・Moltisanti Musicを立ち上げた愛知県知立市出身のラッパー・C.O.S.A.。”Koshy freestyle”でパワフルに幕を開け、IO、Campanella、JJJという盟友たちと、リリカルなラップと洗練されたビートがどれだけ力を持つのかをこのステージで証明してみせた。
その頃、Terminal 6 STAGEではクリエイティブチーム・YeYanによるパーティがスタートした。MANDO、vyst、yena(Spider Web)、101、JINが代わる代わるDJして、Saggypants Shimba、SpiderWeb、YTG、Lil Mafuyuも次々とマイクを持って、サンデーアフタフーンを深夜のクラブのように盛り上げた。
Kaneee(photo by Jun Yokoyama)
Kaneeeは、リズミカルかつスムースなフロウで大観衆を味方に。「このフェスのヘッドライナーになりたい」「地球一のラッパーになりたい」という宣言が嘘ではないとわかる非凡なラップだった。このフェスの常連であるOZworldは、1曲目”フツーって何?”から過酷な幼少期の記憶を共有。Yvng Patra、KUJAも招き入れつつ、自らのアイデンティティを表現するヒップホップというアートフォームの魅力を体現したステージを見せた。続いて支持率右肩上がりのMIKADOがステージへ。”ENVY”、”TIME IS MONEY”などヒット曲の連打にフロアは3日間の中でもトップクラスの盛り上がりを記録。HARKA、ENELとのバイラル”GUNSO WALK”では、屋根が吹き飛ぶかと思うほどのオーディエンスの歌声が幕張に轟いた。
PUNPEE(photo by Yukitaka Amemiya)
最終日のSPECIAL LIVEを任せられたPUNPEEは、2052年のニュースの映像(そのときまでこのフェスを続けようという願いが込められている!)を前振りに最新曲”Mornin'26”でパフォーマンスを開始。OMSBとの”Life Goes On”やBonbero、ANI、BIMとの”MUSEIGEN”などに加え、フリースタイルまでぶっ込んだライブには、今と未来が地続きであるというメッセージが宿っていた。この時間帯のTerminal 6 STAGEはMASATO & MinnesotahのDJセットで、BSC、DIAN、MUD、Neetz、KIKUMARUがステージに現れKANDYTOWNの楽曲を歌うサプライズも!ラストソングはJJJ”BABE”の元ネタのあの曲だった。
Watson(photo by Masato Yokoyama)
Watsonは「POP YOURS」で徐々に重要なステージを任せられる存在へと成長してきたアーティストだ。ユーモアが効いたキレのいいラップをする悪ガキから、クールな男性へ。コーディネートもシックに。ジュエリーは控えめ。客演も地元の仲間・Lucyと、新鋭・Sonsiと少なめ。そんな彼の現在は、喉が枯れてしまうのではないかと思うほど熱くスピットした”今日と言う日は”に集約されているように感じた。G-k.i.dはBAD HOP時代から毎回このフェスに出演している数少ないラッパー。彼の魅力は間違いなく会場を一体にできるソウルフルな歌声だろう。”Black List Remix”では川崎の後輩・DeechとCandeeとダーティなトラップソウルを響かせた。G-k.i.dは「今年で5年目だっけ? 毎年このステージに立たせてもらっていて、本当にいい思い出が毎年あって。みんなも今日最高の1日でいい思い出を残して帰ってくれよ」と話して新曲”HOME”を熱唱した。ANARCHYはリリースしたばかりのアルバム「Crest」からの楽曲だけでセットリストを組んだ。本作は全曲KMがプロデュース。”Doudemoii”でフィーチャーした3Li¥enとはこの会場で初めて実際に会ったという。その流れから「ラップには歳関係なくて。1年目でも3年目でもイケてるやつはいる。イケてるやつはラップやる前からイケてるから。ここにはラップやってなくてもイケてる人いっぱいいるでしょ?そういう人たちに届くラップをしたいと俺は思っている。このステージに立つのも簡単じゃなくて。このパーティに出てる人みんないろんな苦労をしてここに立ってるのよ。俺もそうやし。みんなオシャレしてステージに上がる。全部をこのステージに注ぎ込んで、力を全部使うんよ。それがラッパー。だからみんなリスペクトしてあげてください」と話した。元スケーターでもあるANARCHYはその感性を存分に発揮した最高にスタイリッシュなパフォーマンスもぶちかました。
AMAPINIGHTは「POP YOURS 2026」のMCのひとりとして3日間活躍したSAKURAと、AOI、RINAの3人が主催しているパーティ。国内のフェスもはじめ、海外のさまざまなパーティともコラボしている。今回はおなじみのSAMO、YUUGOH、TAKENOKOといったDJ陣に加えて、ANARCHYと共演した3li¥en、thepini、ZENDAMAN、ARIWA、Tanziがショーケースを行った。DJタイムではホストの3人を含む大量のギャルたちがハイセンスなダンスミュージックに合わせてイケてるダンスを見せていた。
NENE(photo by Jun Yokoyama)
序盤からあっつ~いライブを見せたのはNENE。”Cho Fast”~”ヘビー”ではステージに大勢の男たちが現れお祭り騒ぎ状態に。Daichi Yamamoto、MIKADOとのフェスオリジナル楽曲”違う”で超高温のハイライトを生み出しフィニッシュした。大トリ前を務めるKohjiyaには、大歓声がよく似合う。ファーストアルバムからの新曲もドロップしまくったほか、信念を語ってから披露された”Tell Me How It Goes”や、Kaneee、Yvng Patraとの2024年の「POP YOURS」オリジナル楽曲”Champions”などを伸びやかな声で歌って超弩級のシンガロングを巻き起こした。
過去最大の規模で行われた「POP YOURS 2026」は、「ザ・ヒップホップじゃない」Peterparker69から始まって、「ザ・ヒップホップな」KEIJUで幕を下ろした。ヒップホップはなんと多様な音楽なのか。違う場所、違う道のり、違う価値観、違う性別、違う信条でも、全員ヒップホップを心から愛している。そこだけは共通していた。ポップカルチャーの視点からヒップホップを立体的に表現する。それが「POP YOURS」だ。すべての観客、すべてのアーティスト、すべてのスタッフ、関係者にリスペクトを。そんな気持ちになった3日間の体験だった。(取材・構成 : 宮崎敬太、高久大輝)


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