本日5月1日にはビデオポッドキャストの第2回「Episode 2: 2005-2009」が配信開始。5月22日まで毎週金曜日の正午に新エピソードが更新される(全5回)。本プログラムでは、オーガナイザーの清水直樹(クリエイティブマン代表取締役社長)と、サマソニ初回からメインステージのMCを務めるサッシャが登場。長年現場を共にしてきた二人だからこそ語れる、貴重な振り返りトークを楽しむことができる。
Rolling Stone Japanでは、この対談のテキスト版をお届けする。本記事では、サマソニが急成長を遂げていった2005年~2009年までをプレイバック。[構成:西廣智一]
左からサッシャ、清水直樹(Photo by Mitsuru Nishimura)
2005年:オアシスとアジカン、20年前の「伏線」
サッシャ:今回は2005年から2009年、サマーソニックの6年目から10年目までを振り返ります。早速2005年ですけれども、ヘッドライナーはナイン・インチ・ネイルズ(以下、NIN)とオアシスです。NINの前にはスリップノット。これはかなり濃いな。
清水:完璧だよね。あのときやりたかったことがほとんどやれた感じで。
サッシャ:夢が全部実現した?
清水:そう。だからデュラン・デュランとかエコー&ザ・バニーメンとかロディ・フレイムとか、自分が学生時代に聴いていたようなものを、今観たいものも含めて入れられた。ヒップホップではパブリック・エネミーにQティップがいて、ザ・ルーツもいる。UKロック系譜ではもちろんオアシスをはじめラーズ、イアン・ブラウン、ティーンエイジ・ファンクラブと、本当に好きなものを入れていった。さらに、のちに大きくなっていくアーケイド・ファイアも出てるでしょ。
アーケイド・ファイア (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
サッシャ:ステージも7つに増えました。これ、肝の年ですね。
清水:バラエティっていう言葉で言ったら、この年は本当にすごいと思うんだよね。
サッシャ:広げに広げて攻めました。
清水:そう。で、(当時のポスターを見て)ラムシュタインも出てるじゃん!って思ったけど、ラムシュタインを観た記憶がないんだよ。だって、(同年6月に)クラブチッタでやってから来てなかったよなと。
サッシャ:NINの思い出で言うと、ライブはすごい世界観でしたね。僕、たしかNINの楽屋を、メンバーが入る前に覗かせてもらったんですよ。同じ衣装が10個並んでいたのを覚えてます(笑)。たぶん、ライブの途中で着替えてもいいように、まったく同じ上下のセットがばーっと並んでいて。
清水:やってる間に着替えてたかな。
サッシャ:いや、念のためなのかもしれないですけどね。そこも含めて、度肝を抜かれたのをよく覚えてます。ライブ時間も結構長かったんじゃなかったかな。たしか1時間半ぐらいだったと思うんですよね。
清水:このときも雨降ったよね。(日本でのNINのライブは)必ず雷雨になるっていう伝説は、ここから始まって続いていくという。
サッシャ:嵐を呼ぶ男、トレント・レズナー。
ナイン・インチ・ネイルズ (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
ナイン・インチ・ネイルズ、2005年サマーソニックのライブ映像
清水:あと、オアシスのときはサッシャ、大変だったよね。
サッシャ:あれはガンズに続く大変さで。当時はまだSNSがあまり盛んではなかった時代で、掲示板か何かで「オアシスはラーズが好きすぎるから、ラーズが終わるまでライブが始まらないんじゃないか」って声が出回っていたんですよ。
清水:同じ日に別のステージで、ヘッドライナーでぶつかっちゃったからね。
サッシャ:実際、オアシスのライブはスタートが遅れたんですけど、実際はそういう理由じゃなかったんですよね。
清水:そうそう。本人たちはステージ後ろで待機して、出たくてしょうがない感じだったけど、電源車の電源が飛んでしまったんだよ。音も照明も一切効かなくなってしまって、野球場のウグイス嬢が喋る場所でしか伝えることができなくて。
サッシャ:スタートがどれぐらいだったかはちょっと覚えてないですけど、相当遅れましたものね。僕も最初はステージ裏にいたんだけど、マイクが使えないからとウグイス嬢のところまで行って。この25年間で、あそこでアナウンスをしたのはその1回だけですからね。
オアシス (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
オアシス、2005年サマーソニックのライブ映像
サッシャ:この年はディープ・パープルなんかもいましたね。
清水:ディープ・パープルは面白かったよね。オーディエンスの中には意外と彼らのことを知らない人もいたんだけど、「あれ、これ聴いたことある」みたいな曲が次から次へと出てくるみたいな。 ここでまたディープ・パープルが再評価されて、その後また武道館とかでどんどんライブをしているので、そういうサマーソニックの力みたいなものを出せたのかな。
サッシャ:お客さんからすると、単独公演だと行くかどうかわからないけど、「観てみたい」と気軽に足を運んでみることができるのはフェスの良さですよね。それは新人アーティストも含めてですけど。
清水:そういうのはたくさんあるよね。
ディープ・パープル (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
サッシャ:ウィーザー、カサビアンもいますね。この当時、SONIC STAGEがオルタナの聖地になりまして、ラーズが復活したっていうところでもありましたけれど。
清水:カサビアンはもうこのあたりから、サマーソニックの定番になってきたね。
サッシャ:日本での人気が高いアーティストのひとつですよね。
清水:やりましたね。そういえば、この間オアシスを(東京ドームへ)観に行ったときに、アジカンのマネージャーと話したんだけど、「今、オアシスのサポートをしてますけど、実はオアシスとはあれ(『SUMMER SONIC EVE』)以来なんです」と言っていて。あのとき、アジカンは名古屋でノエル(・ギャラガー)に「お前らがASIAN KUNG-FU GENERATIONか。カンフーできるのか。ちょっとやってみろよ」ってからかわれたんだよね(笑)。
サッシャ:イジられたんですね(笑)。
清水:そう。「でもクールな名前じゃないか」みたいな感じでもあって。
2006年:メタリカ、リンキン、ダフト・パンク…強力すぎる2日間
サッシャ:続いて2006年。
清水:この年はとにかくヘッドライナーをはじめ、すべてのステージがパーフェクト。
サッシャ:100点満点。
清水:そうだね。「これ、どうするよ俺」みたいな感じで(笑)。
サッシャ:どこ(のステージ)に行くっていう。体はひとつしかないし。
清水:だってメタリカ、ダフト・パンク、フレーミング・リップスのどれを取るんだと。リンキン・パーク、マッシヴ・アタック、トゥールのどれを選ぶか。これはもう悩みどころだよね。
サッシャ:音楽好きなら選べないですよ。この年のメタリカはすごかったですよね。当時『Master Of Puppets』(1986年)リリース20周年だったので、ライブではアルバム完全再現をして、その後それ以外の曲もやったんですけど。
清水:2時間ぐらいやったのかな。
サッシャ:2時間20分で、サマーソニックの歴代ヘッドライナーとしては最長とのことです。
メタリカ (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
メタリカ、2006年サマーソニックのライブ映像
清水:当日、『Master Of Puppets』再現を観て、途中で抜けてダフト・パンクに行ったことを覚えてます。
サッシャ:メタリカは全部観ていない。
清水:そこはちょっと選んだね
サッシャ:でも、伝説でしたね。だってフェスに行って、メタリカの単独ライブを観れたようなものじゃないですか。これはすごかったですよ。
清水:この人たちはいつも、自分たちのペースにしちゃうからね。
サッシャ:この強力なラインナップの中で、もう全部持っていきましたね。ダフト・パンクは私は観ていないんですけど、どうでした?
清水:いやあ、すごかったよ。だって、この頃のMOUNTAIN STAGEはまだ(幕張メッセの)ホール2とホール3を使ってないから。たしかホール11だったから、8000人から1万人しか入らないわけ。
サッシャ:今は2万人ぐらい入りますよね。そう考えると、今のSONIC STAGEくらいなのかな。
清水:そうそう。だから、入場規制になって観られない方がたくさんいたことを覚えてるね。
サッシャ:ダフト・パンクも(解散して)今や観れないですからね。
ダフト・パンク (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
ダフト・パンク、2006年サマーソニックのライブ映像
サッシャ:あとはミューズも出ていますけど、パンクやラウド、ヘヴィ系が勢揃いした2日間でした。それからリンキン・パーク、これも今は亡きチェスター(・ベニントン)に代わり新しいボーカルで復活していますけど。
清水:サマーソニックとリンキン・パークのイメージが結びついたのは、ここからだよね。このあとも立て続けに出てくれるようになって。
サッシャ:チェスターがお客さんの盛り上がりとサマソニに、本当に感動していて。ライブが終わってステージ袖に戻ってきたんですけど、当時の奥さんが袖で観ていたんですよね。私もすぐそばで観ていたんですけど、袖のテントの隙間から花火が打ち上がっているのが見えて、それを見ながら2人がキスをしていて。多分チェスターの中では「いいライブができたな」と大満足していて、奥さんも「あなた、良かったわよ」みたいな感じだったんでしょうね。僕はそれを横で見ていたんですけど(笑)、これもサマソニの奇跡だなと。だって、世界中でいろんなライブをやっている中で毎回キスしているわけじゃないと思うんです。花火の演出もあったとはいえ、これもまたお客さんが産んだひとつの奇跡だと思いますね。
リンキン・パーク (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
リンキン・パーク、2006年サマーソニックのライブ映像
清水:今でこそロックアーティストがスタジアムや2万3万キャパの会場でライブをすることは当たり前になったけど、当時はまだ日本では少なかったんだよ。そんな時代にマリンスタジアムで、日本のお客さんを前にライブをやるっていうのはかなりスペシャルなことだったと思う。また、あの場にはそういう不思議な力があるから、レディオヘッドが突然「Creep」をやってくれたり、オアシスもウルウルしながらやってくれたりという光景を、サッシャはすぐそばで見てきたってことだもんね。
サッシャ:最後は自分が出ていかなくちゃいけないので、わりと袖で観ていることが多かったですし、そういう特別な瞬間っていうのはいろいろ観てますね。ちなみに、この年はアークティック・モンキーズがサマソニ初出演していて。このときはMOUNTAIN STAGEに出ていて、その翌年にサマソニ史上最速でヘッドライナーになるわけですけど。
清水:もちろん翌年にやってもらおうとは、まだそのときは決めてないよ。ただ、すごいことが起こったなっていうのは、あのとき感じたなあ。本当はもうちょっと大きいステージや(出番が)後ろでやってもよかったんだけど、あえてあのときは「MOUNTAIN STAGEでいい」ってエージェントが言ってきたんだよ。
サッシャ:あえて早めの時間で。
清水:それでパニックになるぐらいの人が集まって、みたいな。そういうところまでしっかりとストーリーとして考えていたのかわからないけど、いつかは彼らがヘッドライナーになるだろうということは、あの日のステージを観て確信しました。
2007年:勢いが後押しした「攻め」のヘッドライナー
サッシャ:2007年はブラック・アイド・ピーズと、今話題に出たアークティック・モンキーズがヘッドライナーです。
清水:これは攻めた年だったよね。ヒップホップアーティストをサマソニというロックフェスのヘッドライナーに押し上げたうえに、デビューして数年のアーティストが史上最速でヘッドライナーになる。最初からこういうストーリーでやろうってことではなかったんだけど、いろいろ考えたらそうなったみたいな。初日はブラック・アイド・ピーズ、アヴリル・ラヴィーン、グウェン・ステファニーとポップの要素がグッと詰まったものだし、2日目はアークティックにカサビアン、マニック・ストリート・プリーチャーズとUKロックの集大成的なものと、すべてのバランスがよかったんだろうね。MOUNTAIN STAGEもオフスプリングとSUM41だし、SONIC STAGEはトラヴィスとペット・ショップ・ボーイズ。かつシンディ・ローパーもいて、こんなちっちゃいステージ(SONIC STAGE)でやってたんだなっていう。それもあってか、すぐにソールドアウトになったしね。
サッシャ:本当ですよ。その後、東日本大震災の直後に、日本に残ってライブをやってくれたぐらい熱い思いのあるシンディが。
清水:この前のフェアウェルツアーなんか武道館3回ですよ。
サッシャ:私も行きましたけど、感動しました。
清水:アーティストって面白いのが、この当時は武道館でやりたかったからといってできるわけではなかったんだけど、いろんなことの積み重ねでまた復活するという。時代とともにちょっと落ちることもあるけど、また上がるタイミングもふとした瞬間にやってくるんだよ。サマソニで来たときも、お客さんが本当にいっぱいだったし、ステージ袖からもいろんなアーティストが観ていたのよ。で、そこからまたシンディが日本でも復活していくっていう。そういう流れの先駆けだった気がするよね。
サッシャ:ヘッドライナーのブラック・アイド・ビーズは完璧でしたね。
清水:花火の上げ方から、すべて完璧だったね。
サッシャ:もはやジャンルっていうものが失われつつある中、「ポップとしてのヒップホップ」の最前線を当時ブラック・アイド・ビーズが全部体現してくれたなっていう。
清水:あの花火のシーンは、思い描いていた通りだったのよ。彼らが海外の屋外ビーチみたいなところでやったライブ映像を観たときに、「サマソニのまんまじゃん」と思ったシーンがあって。それで、次はブラック・アイド・ビーズでいこうと決めて、まさしくそれをそのままやってくれたんだよ。
サッシャ:清水さんって常にサマソニのことを考えながら、いろんなライブとか映像とか観ているわけですね。
清水:そうだよ。夢でも見るし……それこそ、人がガラガラのサマソニみたいな夢も見るからね(笑)。
サッシャ:清水さんが見る悪夢は、人がいないサマソニなんだ。アーティストが来ないとかじゃなくて(笑)。
清水:だって、それが一番怖いでしょ(笑)。
ブラック・アイド・ビーズ (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
ブラック・アイド・ビーズ、2007年サマーソニックのライブ映像
サッシャ:アークティック・モンキーズは当時の最年少ヘッドライナーでもあったんですよね。
清水:このときはサマソニにも勢いがあったのよ。だから、自分の中でも「今のサマソニだったらいけるだろう。やっちゃえ!」みたいなことを考えてのヘッドライナーでしたね。
アークティック・モンキーズ (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
アークティック・モンキーズ、2007年サマーソニックのライブ映像
サッシャ:大阪は舞洲に会場を移転したタイミングだったんですよ。
清水:そうだね。大阪は大阪でいろんなストーリーがあるから、また別の機会に話したら面白いかもね。
サッシャ:たしかに、大阪だけの話もできますよね。
清水:俺たちはできないじゃない、そこにいないから。だから、大阪の担当であったり毎年行ってる人がいたら、さまざまなストーリーがあると思う。それこそ、台風で中止になったりとかいろいろあったし。
サッシャ:砂埃が上がったりとか、いろんな話を聞いてますよね。そういうところで、会場選びっていうのもすごく重要なのかなと。東京は幕張という良い場所がたまたま見つかりましたけど、一長一短で簡単ではないんですよね。
清水:1年目は富士急だったけど、それ以降東京はずっと変えずにできてるっていうのは、もう奇跡かもしれないよね。
2008年:コールドプレイとアリシア・キーズ、夢共演の裏側
サッシャ:2008年にいきましょう。前年にSEASIDE VILLAGEがオープンして、この年はテント宿泊が可能になったんですね。
清水:それも自分の中では憧れがあったんだよね。海外のフェスであったりフジロックもそうだけど、やっぱりテントで過ごしたい人たち、泊まりたい人たちもいるんじゃないかっていうところで、それをここから数年間トライして。雰囲気はすごく良かったんだよ。サッシャともスタジアムでのライブが終わったあと、一緒にテントのほうに行ってちょっとお酒を飲んだりして。楽しかったよね。
サッシャ:そうなんですよ。怖い話もあったりとかして。
清水:稲川淳二さんが怪談を突然話し出したりとかね(笑)。
サッシャ:その横で、ちょっとプチ打ち上げ的にみんなでワイワイっていう。あの非日常さは夏休みを楽しんでいる感じもありましたね。
清水:当時はまだ若かったし、俺たちの中でも「フェスは仕事でもあるけど、楽しもう」みたいな、そんな時代でもあったんだろうね。多少寝なくてもどうにかできるみたいな。
サッシャ:この当時は寝なくても2日間MCできましたけど、今はちゃんと寝ないとダメですしね(笑)。
サッシャ:この年のヘッドライナーは、ザ・ヴァーヴとコールドプレイ。まずザ・ヴァーヴからいきたいと思います。
清水:自分で言うのもなんだけど、この年もすべてが完璧なブッキングだったなと。ザ・ヴァーヴをヘッドライナーにしたいんだけど、この日はザ・プロディジーもいた。トリとしてはザ・プロディジーのほうがいいのかなと思って、このときはザ・ヴァーヴがヘッドライナーなんだけど、出番としてはそのあとにザ・プロディジーに出てもらった。で、コールドプレイの前のアリシア・キーズ。このラインナップもそうだし、それ以外でもこの年もやりたいことをできるだけやったかな。
ザ・ヴァーヴ (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
サッシャ:セックス・ピストルズも出てましたよね。
清水:ファットボーイ・スリム、DEVO、ジャスティス、BOOM BOOM SATELLITESの流れなんて、自分でもよくやったなっていう。「よくこんなラインナップができたな、すげえな」とか、いろんなところにそういう感じがあるよね。
サッシャ:ブッキングするときって、いろいろ大変なことあると思うんですけど、「この人も出るよ」と言ってOKしてもらうとか、そういうこともあるんですか?
清水:あるね。あとは、自分の中でもストーリーを作ってラインナップを決めていくパターンもあるし。例えば、この年だったらジザメリ(ジーザス&メリー・チェイン)の前にスピリチュアライズド、マーキュリー・レヴっていう流れ。これも当時でいったら本当にパーフェクトだし、これだけでひとつのフェスが成立するくらいだし。
サッシャ:この年は9ステージにまで増えています。
清水:ポスターに載ってるラインナップの名前も、以前の年と比べてかなり小さくなってきたしね(笑)。このときは、(SONIC STAGEの)オープニングアクトとしてサカナクションがいたんだよ。
サッシャ:あ、本当だ。ポール・ウェラーのステージの一番下に載ってますね。
清水:「このアーティスト、ここに出てたの?」みたいなところも拾うと面白いんだよ、サマーソニックって。実は毎年、アーティストケータリングのところに過去のポスターが貼ってあるんだけど、細かく見てると毎年何か発見があるんだよ。
サッシャ:関係者しか見れないやつなんですけど、それを毎回見て感慨に耽るという。そしてコールドプレイですよね。
清水:たしか、コールドプレイのためだけにセンターステージを初めて作って。スタジアムのど真ん中で歌うっていう、あのシーンは感動したよ。
コールドプレイ (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
サッシャ:しかも、アンコールでアリシア・キーズが出てきて。彼らは東京は2日目で大阪が初日だったんですけど、当時聞いた話では大阪が終わったあと、アリシアがコールドプレイとアーティストホスピタリティで「何か一緒にやろうよ」と話したそうで。その結果、東京ではコールドプレイのステージのアンコールにアリシアが呼ばれて、一緒に「Clocks」をやったと。で、アリシアはそこで一切歌わずにピアノだけ弾いて帰ったんですよ。
で、去年アリシアがヘッドライナーで戻ってきたときにインタビューして、あの当時の話を聞いたら、「Clocks」のイントロのピアノって黒鍵白鍵という運指らしいんですけど、クリス・マーティンのピアノは全部白鍵で弾けるようにチューニングされているそうなんです。
清水:そうなんだ。
サッシャ:で、アリシアはそういうことを知らされずにステージに出ていったら、チューニングが違うことに気づいて焦ったそうで。あの日、クリス・マーティンがやたらとアリシアに「こう弾いて」とレクチャーしてるシーンがあったんですけど、それは「こう弾けば簡単だから」というのを教えていたみたいなんです。
清水:それで一発で弾けちゃうんだ。さすがプロだね。
サッシャ:コールドプレイとアリシア・キーズ、このコラボはたぶんそれ以降もやってないですよね。
清水:きっとサマソニだけだよね。
コールドプレイとアリシア・キーズの共演映像
2009年:初の3日間開催、ビヨンセ歴史的名演の意義
サッシャ:そして2009年は、ついに10周年を迎えます。ということで、史上初の3日間開催でしたが、これも以前からやってみたかったことなんですか?
清水:周年でやろうっていうのは結構前から考えていて。ただ、2日だけでも周りのスタッフがみんな死んでるのに、3日に増やしたら本当に倒れちゃうんじゃないか。そっちを気にしたよね。でもフェスってさ、2日間ってやってる側は意外に早く感じるじゃない。作ってもう終わりっていう。だから、3日間やったときに初めて充実感みたいなものをちゃんと感じられたかもしれない。
サッシャ:なるほど。話によると、この年は180アーティストをブッキングしたらしいですよ。
清水:びっくりだよね。でも、この年は最後にビヨンセが全部持っていったけどね。
サッシャ:この年のヘッドライナーはマイ・ケミカル・ロマンス、リンキン・パーク、ビヨンセ。
清水:で、その前にも必ず強いアーティストを置いて。ナイン・インチ・ネイルズにB'zにNE-YOという、ダブルヘッドライナーと言ってもいいようなメンツです。
マイ・ケミカル・ロマンス (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
NE-YO (C) SUMMER SONIC All Rights Reserved.
サッシャ:NINは前にヘッドライナーもやってるし。このときも雨だったんですよね。
清水:そう、大雨で。NINは最初、セカンドヘッドラインに決まったときに「やってやろう。その代わり、後悔するのは奴ら(マイ・ケミカル・ロマンス)だぞ」って一言言ったんだよ。
サッシャ:そうなんですか。それ、カッコいいなあ。
清水:で、実際にそのぐらいのライブをやっちゃったっていう。ビヨンセもこの時点では、まだどこでもヘッドライナーをやってなかったんだよ。その後グラストンベリー(2011年)とかコーチェラ(2018年)に出ているけど、サマソニが先駆けなんだよね。まだあの当時、そういったロックフェスはこだわりを持っていて、ビヨンセのようなポップススターをヘッドライナーにしてこなかったから。
サッシャ:ビヨンセ自身もソロになって、まだそんなに時間が経ってなかったタイミングでしたし。
清水:あと、日本だったらフジロックとサマソニ、イギリスでいったらレディングだったりグラストンベリー、アメリカではコーチェラやロラパルーザといったあたりが主要なロックフェスだと思うけど、もしビヨンセがトリをやるんだったらそういうポップアーティストだけを集めたフェスを作る構想を、当時はまだどこのフェスも持ってなかったんだよ。
サッシャ:そんな中で、清水さんは「ビヨンセだ!」と思ったと。
清水:俺はブラック・アイド・ピーズのときから、「もうそういう時代だ」と考えていたし、「誰にやってもらうか」というときに、やっぱりビヨンセ、リアーナの名前は頭の中にあって。なので、この10周年のタイミングにぶつけてみたという。
サッシャ:その後のコーチェラとかで、ビヨンセがヘッドライナーをやって、みんなが「うわー!」って言ってるのは清水さんのおかげじゃないですか。
清水:そこまで言う気持ちはないけど(笑)、最初だよって言いたいっていう、そのぐらいだよね。
ビヨンセ、2009年サマーソニックのライブ映像
サッシャ:何事もゼロイチが一番大変ですから、素晴らしいと思います。ビヨンセはこの年の11月に、もう1回ツアーで来てるんですよね。これが現状最後の来日公演かな。
清水:そう。あれはフェスとツアーの両方を同時にオファーしていたんだよ。このときのビヨンセは、とにかくサマーソニックのヘッドライナーをやりたかったので、「だったら、そのあとツアーもやってね」ってことで2つオファーをして、2つともコンファームしてもらったという。そのぐらい、この当時はフェスにポップアーティストを出させることに力があったよね。みんなやりたい、やってみたいっていう。
サッシャ:時代の転換点だったってことですよね。
清水:だから、このあとにもポップアーティストの名前がたくさん出てくるけど、その先駆けになったのがビヨンセ。
サッシャ:とにかくすごいステージだったことは本当によく覚えています。あとね、渡辺直美さんがオープニングアクトで出ています。
清水:これも10周年のちょっとしたお遊びで。この方も今や、東京ドームをソールドアウトにしてますからね。このときはたしか、アントニオ猪木さんもオープニングで出てもらったのかな。「1、2、3、ダーっ!」をやってもらって。
サッシャ:ありましたね!
清水:最後までビンタしてもらおうか迷ったんだよな(笑)。
サッシャ:(笑)。あと、この当時レディー・ガガがMIDNIGHT SONICに出ていて。サマソニ初出演が深夜枠なんですよね。
清水:MIDNIGHT SONICはダンスステージで5、6000人しか入らないんだけど、サマソニ開催までの間にレディー・ガガがとんでもない化け物アーティストになってしまって。これはやばいよってことになって、急遽屋内の深夜枠に移して、大阪ではどうにかメインステージにスロットを作ってみたいな。苦し紛れだけど、ここでレディー・ガガにやってもらうしかないっていうことで作ったのがあのステージ。あと、この年のMIDNIGHT SONICはエイフェックス・ツインとかトリッキーを呼べたのもすごいんだけどね。
サッシャ:そのへんの瞬発力というか、柔軟な対応もすごいですね。
清水:当時から「だったらどうしよう?」って、いろいろ考えていたからね。でも、改めて振り返ると、このときのサマーソニックは懐が深いよね。すごいな。
※「5x5 Years of SUMMER SONIC」Part.3 2010-2014に続く
【5x5 Years of SUMMER SONIC】
Part.1:サマーソニックの幕開け、2000-2004年を振り返る
レディー・ガガ、2009年サマーソニック(大阪)のライブ映像
サマーソニック25周年記念スペシャルコンテンツ
「5x5 Years of SUMMER SONIC」
▼Spotify限定ビデオポッドキャスト
番組URL:https://spotify.link/5x5YearsOfSS_Podcast
▼Spotify公式プレイリスト
2000-2004:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2000-2004
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2010-2014:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2010-2014
2015-2019:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2015-2019
2022-2026:https://spotify.link/5x5SUMMERSONIC2022-2026
*コロナ禍でサマソニ開催中止となった2020年・2021年を除きます。
SUMMER SONIC 2026
2026年8月14日(金)・15日(土)・16日(日)
東京会場:ZOZOマリンスタジアム & 幕張メッセ
大阪会場:万博記念公園
https://www.summersonic.com/
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