内外の景気懸念が投資家心理を冷やす流れ。米国雇用情勢の悪化を受けて、米景気の回復ピッチが鈍化すると懸念されている。中国では18日、中期的な重要政策の方針を話し合う第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が閉幕。会議後に発表されたコミュニケ(声明)では、各種の改革目標が示されたものの、改革の具体的な内容は明らかにされず、景気浮揚には一定期間を要するとの見方も一部で流れている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄は、不動産の下げが目立つ。本土拠点の龍湖集団HD(960/HK)が6.0%安、華潤置地(1109/HK)が5.8%安、中国海外発展(688/HK)が4.3%安、香港拠点の新鴻基地産発展(16/HK)が2.8%安、新世界発展(17/HK)が2.5%安で引けた。上述した会議では、不動産など重点分野のリスクを防ぐ措置の実施方針が確認されたものの、即効性のある政策は示されず、投資家の失望売りにつながっている。香港不動産については、米利下げ期待がやや低下したことで、金融政策で米国に追随する香港の金利低下期待もやや後退した。
石油セクターも安い。業界大手3社の中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が4.9%、中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が4.7%、中国石油化工(サイノペック:386/HK)が3.3%、原油掘削の中海油田服務(2883/HK)が2.7%ずつ下落した。
非鉄・産金セクターも売られる。
半面、半導体セクターは物色される。華虹半導体(1347/HK)が5.4%高、上海復旦微電子集団(1385/HK)が3.4%高、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が1.9%高、晶門半導体(2878/HK)が1.7%高と値を上げた。同セクターを巡っては、対外圧力が強まる中にあっても、ICの需要拡大は続くと予測されている。ファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC:2330/TW)は18日、人工知能(AI)向け半導体の需要が急増しているとして、通年の売上高見通しを上方修正した。また、米国の対中圧力を念頭に、中国当局は支援策を強めるとの思惑も広がっている。
一方、本土マーケットは続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.17%高の2982.31ポイントで取引を終了した。半導体株が高い。軍事関連株、証券株、医薬株、空運株、食品・酒造株、メディア関連株なども買われた。半面、不動産株は安い。エネルギー株、素材株、公益株、自動車株、銀行株も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)