自国製品が海外から高く評価されないことを望まない国はないだろう。例えば日本人であれば「ジャパン・クオリティ」と海外から自国製品の品質の高さを認められていることを誇りに思うはずだ。


 マケドニアで現地時間15日に中国の動力分散式列車「動車組」の納車式と試運転が行われ、無事に成功したことは、中国人にとって非常に喜ばしいことだったようで、中国メディアの新華社は「欧州マケドニアでの成功は世界にチャイナ・クオリティを印象付ける大きな一歩だ」と報じている。

 グローバル経済が進展した今日において、世界のバリューチェーンにおける中国の地位は低い。先進国のメーカーが付加価値の高い部品を生産する一方で、中国はそうした部品の「組み立て」を担当するのが中心だったからだ。バリュー・チェーン全体において、中国が得られる利益が非常に小さいことは中国も問題として認識しており、だからこそ「技術、ブランド、品質、サービスを核とした対外貿易競争の新しい優位」を形成することを目標に掲げているのだろう。

 新華社は、最先端技術が求められる動力分散式列車の試運転がマケドニアで成功したということは、これまで他国の技術から学ぶ側だった中国が、いまや世界の高速鉄道技術をリードする国になりつつあるという点で、まさに世界に「チャイナ・クオリティ」を印象付ける出来事だったと主張した。中国国内で動車組は非常に身近な交通手段であり、中国人にとって動車組のヨーロッパでの試運転成功はまさに「誇り」を感じた瞬間だったのだろう。

 「ジャパン・クオリティ」が高品質ならば、「チャイナ・クオリティ」の定義は何になるだろうか。中国の高速鉄道や動車組に対しては、一定の品質と他国製品より相対的に安価であるという「コストパフォーマンスの高さ」という評価が相応しいかも知れない。だが、日用品の分野においては「安かろう悪かろう」がいまだに「チャイナ・クオリティ」の評価ではないか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF) 


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