中国メディアは27日から28日にかけて、天皇陛下がフィリピンへのご出発に際して、あるいは同国に到着した後に、第二次世界大戦により膨大な無辜のフィリピン市民が犠牲になったとして、「悔い改める気持ちを明らかにした」などと報じた。中国版ツイッターの微博(ウェイボー)では、中国にも謝罪すべきだとの意見や、「謝罪を求め続けるわれわれは、泣いて相手に謝ることを求める子どもと同じ」と主張するなど、さまざまなコメントが寄せられた。


 中国では、天皇陛下や皇族の歴史を回顧するお言葉に対して、多くの賛辞が集中することが多い。例えば2015年の新年のお言葉についても、天皇陛下が「満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」とおっしゃったことに対して、中国メディアの環球時報は「正義の叫びと理性の声」と高く評価した。

 インターネットによせられる書き込みも同様で、皇太子さまが同年2月23日に、55歳の誕生日にあたってのお言葉で「戦争を知らない世代に悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切」とおっしゃった事に対して、「日本の徳仁皇太子は戦後の生まれなのに、戦争についてはこのようにしっかりと認識されている。すばらしい」といった書き込みが寄せられた。

 中国共産党・政府も、天皇および皇室に対しては敬意を込めた態度を続けている。中国共産党中央宣伝部の管理下にある「光明日報」が2015年8月26日に、昭和天皇の戦争責任を主張する論説を掲載したが、むしろ例外中の例外だった。また、伝統的な中華思想では、中国の皇帝以外には、呼称に「皇」の字を用いることは絶対にできないが、中国では一貫して「天皇」と表現されている。

 中国当局は、天皇陛下をおとしめるような表現をした場合、日本の世論が決定的に中国を憎むようになると理解していると言ってよい。

 フィリピンご訪問についてのニュースについても、メディアは天皇の歴史関連のお言葉を中心に取り上げ、読者の側からの天皇の言動を非難する書き込みはほとんど見当たらない。「いいね」が多く寄せられているコメントは「戦争は善悪でなく、強い方が相手を叩くだけだ」と主張。中国は実力がないのに謝罪を求め続けているのは「泣きながら相手に謝罪を求める子どもと同じ」と批判した。

 天皇のフィリピン訪問を政治的な意図、あるいは中国へのあてつけと主張したり、南京にきて悔い改める姿勢を示していないので「疑問が残る」との考えを示すコメントもあるが、天皇陛下への直接の批判は見当たらない。
(編集担当:如月隼人)(写真は新浪網が28日付で掲載した微博画面のキャプチャー)


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