中国の教育方法は「詰め込み式」であり、ひと昔前の日本と似ているという。中国ではこの時期、「高考」つまり大学受験の話題で持ちきりだが、良い人生を送るためには、良い大学に入ることが不可欠と考える人が多い中国では、日本以上に受験戦争が激しい。
香港メディアの鳳凰網は10日、日本における教育方針の移り変わりから、中国教育の問題点について分析する記事を掲載した。
 
 記事は、高度経済成長期に経済的ゆとりが出てきた頃の日本について、高等教育の普及とともに受験戦争が激しくなり、「詰め込み式」、「受験戦争」といった言葉も聞かれるようになったと紹介。こうした教育方法に異議が出るようになり、国民の圧力のなか、近年は政府によって「ゆとり教育」政策が出され、授業時間も学習内容も大幅に減少したと紹介した。
 
 しかし、このゆとり教育は「ゆとりが出るほど負担が大きくなる」という現象を招いたと記事は分析。特にゆとり政策の始まった1976年から1990年までは、子供の数が増え続けていたため受験戦争はより厳しくなり、かえって受験対策のため子供を塾に通わせるなどの負担が増えたという。
 
 また、OECD生徒の学習到達度調査(PISA)では、日本はもともと優秀な結果だったのが、ゆとり教育後に学力低下が顕著になったと指摘。ゆとり教育は本来の目的を達成できなかっただけでなく、家庭の文化資本や経済資本をより教育へつぎ込むことになり、社会の停滞を招いたと論じた。そのため日本は、2016年になってゆとり教育からの脱却を決定したと記事は紹介した。
 
 そこで記事は、過度な詰め込み教育は間違っているものの、「才能に応じた教育」は必要であり、そのために受験は科学的かつ効果的な手段であると主張。現在の中国の詰め込み教育が悪化していることは認めつつも、授業の多さが学生の学習意欲をそいでいるのではなく、学校が質の高い教育を十分に提供できず、親も方向性のないままむやみに子供に課外授業を受けさせるために、子供の学習意欲をそいでしまっているのだとした。
 
 詰め込み式で育った人が、大学卒業後に社会に出てみたら役に立たなかったというのはよく聞く話だ。日本ではゆとりに過ぎたが、中国では詰め込みすぎており、バランスのとれた教育というのは日本も中国も難しいことのようだ。
(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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