1906年(明治39年)に創業。今年9月に120周年を迎える川中醤油(広島市安佐南区)。
主力商品の「芳醇天然かけ醤油」も今年、発売から40周年となる。自身も就任10年目を迎える川中康三社長に話を聞いた。

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 ――今年は創業120周年と同時に、主力商品の「芳醇天然かけ醤油」も発売から40周年を迎えます。

 川中 当社は創業当初から、地元の方に喜んでもらいたいという思いがあり、それは変えることなく、一方で変えていくチャレンジ精神を持ちながらどんどん新しいことに取り組んできた。それを象徴するのが、現会長が40年前に作った「芳醇天然かけ醤油」だ。

 当時、広島のスーパーは全国メーカーの醤油が中心だったので、地元の店に扱ってもらえる醤油をという思いで作り始めた。様々な料理に使ってもらいたいとだしを加え、それが差別化にもなった。

 40年間作り方を変えることなく、自社で鰹節から取っただしを本醸造濃口醤油と合わせている。それが強みであり、発売以来、順調に成長してきた。

 当社はもともと加工向けや業務用が中心のメーカーだったが、「天然かけ醤油」が売れてから業務用・加工用・家庭用の3つを網羅できる会社になった。OEMなども含め家庭用で50品目、業務用を加えると300品目を製造し、容量も50㎖の蒲焼用のタレから、20Lの業務用、ローリー車まで幅広い。

 現在は「芳醇天然かけ醤油」が売上の約3割を占めており、リピーターも多い。
それは30年、40年を経て家庭の味として定着したからだと思われる。ただ、人口減少で伸び率は鈍化している。
 
 ――今後も成長を維持するためには。

 川中 今回、500㎖を瓶からペットボトルに変えた。軽くて割れないと評判が良く、物流面でもコストダウンにつながると期待している。

 100㎖の小容量タイプは自動車販売のノベルティなどに使われ、広がっている。調味料は使ってもらわなければ良さが伝わらないので、販売チャネルを広げたい。
 
 ――26年3月期決算の概況は。

 川中 増収減益を見込む。増収は昨年6月にテレビ番組で「みたらしろっぷ」が取り上げられ、7月以降フィーバーが起こったのが一因。もともと年間で3000本しか売れていなかったが、一気に5万本売れた。さらに、10月には「燻製だし醤油」が「第16回調味料選手権2025」で総合2位・しょうゆ部門最優秀賞に選ばれた。
こちらは年に1万本以上売れていたのが倍近くになった。直営店や通販の売上も伸びた。一方、減益については、原料・コスト高と修繕費がかかったのが要因だ。
 
 ――今後の重点課題について。

 川中 醤油は調味料の中で唯一、365日・朝昼晩使える可能性があるものだと考えている。醤油に強みがあるので、それをベースにするという考えはあるが、特化するつもりはない。

 例えばドレッシングは液状分離、ノンオイル、乳化というカテゴリーがあり、醤油メーカーでこの3つとも製造できるところはあまりない。これも当社の強みであり、OEMの引き合いも増えている。

 来年はニーズが強い小容量の商品を強化するため設備投資を予定している。半自動で充填しているものを自動化し、省人化と生産量の拡大を図る。「芳醇天然かけ醤油」が軸であるのは変わらないが、それ以外に単品で1億円売れる商品を作りたい。

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