大混乱の自民党を仕切れる「ポスト岸田」はこの人しかいない!?...の画像はこちら >>

9月の総裁選まで持つのか? それとも早々に交代か?

安倍派の裏金問題が発覚し、支持率が急降下。いつ退陣してもおかしくない状況の岸田首相。

では、ポスト岸田は誰なのか? そして、今年の政界はどうなるのか? ふたりの識者に聞いた!

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■岸田退陣は4月!? 新首相は上川氏!?

岸田文雄内閣の支持率が危険水域に達している。時事通信が12月に行なった世論調査では17.1%。これは2012年12月に自民党が政権復帰して以来、最低の数字だ。

そのため「9月の自民党総裁選まで持たないのでは?」との声が出ている。では「岸田首相はいつ退陣するのか?」「次に首相になるのは誰なのか?」などを政治ジャーナリストの藤本順一(ふじもと・じゅんいち)氏に聞いた。

「岸田首相は自らの手で解散を打ち、9月の自民党総裁選での再選を目指していましたが、増税批判に加えて裏金問題が浮上して不支持率は史上最高を更新しています。再選どころか、解散を打てずに退陣するとの見方が党内の大勢です。

では、すぐに辞めるのかというと、支持率が約9%と低迷していた森喜朗内閣(2000~2001年)でさえ、予算が成立する4月までは辞めなかった。ですから、岸田内閣も4月までは〝持たせる〟のではないでしょうか」

大混乱の自民党を仕切れる「ポスト岸田」はこの人しかいない!?
河野太郎 1963年生まれ。60歳。麻生派。デジタル大臣。2021年の自民党総裁選では、決選投票で岸田氏に敗れた

河野太郎 1963年生まれ。60歳。麻生派。デジタル大臣。2021年の自民党総裁選では、決選投票で岸田氏に敗れた

岸田首相は4月に退陣する可能性が高いという。

では、その後を継ぐのは誰なのか?

「マスコミでは、石破 茂氏(無派閥)、河野太郎氏(麻生派)、小泉進次郎氏(無派閥)、高市早苗氏(無派閥・元安倍派)、茂木敏充氏(茂木派)、上川陽子氏(岸田派)、林 芳正氏(岸田派)らの名前が挙がっています。

しかし、今の主流派を占める岸田、麻生、茂木の3派が推す候補が有力です。そうなると茂木、上川、林の3氏に加えて河野氏あたりが有力候補となりますが、中でも最有力と目されているのが上川氏です。

彼女は安倍政権以降、法務大臣などの閣僚を歴任、昨年9月の内閣改造では総理総裁への登竜門のひとつとされる外務大臣に抜擢(ばってき)され、高市氏と並んで初の女性首相への期待が高まっています。

さらに、派閥を率いてないので主流3派のコントロールが利く。党内に敵が少ない彼女であれば、裏金問題の震源地である安倍、二階両派も受け入れざるをえないでしょう。

政局を取り仕切る最高実力者の麻生太郎氏は、上川氏をワンポイントで起用して支持率を上げ、選挙の顔として使い、その後に茂木氏などにバトンタッチして本格政権をつくるというシナリオを考えているようです」

大混乱の自民党を仕切れる「ポスト岸田」はこの人しかいない!?
上川陽子 1953年生まれ。70歳。岸田派。外務大臣。公文書管理担当大臣、内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)などを歴任

上川陽子 1953年生まれ。70歳。岸田派。外務大臣。公文書管理担当大臣、内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)などを歴任

では、その上川氏はどういう人物なのか?

「東京大学を卒業して米ハーバード大学大学院に留学。民間のシンクタンクを経て、米上院議員の政策スタッフに。

その後、政治家になったかなり実力のある政治家です。

彼女の性格を表すエピソードは、法務大臣時代の2018年にオウム真理教の元代表・麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら13人の死刑を執行したことです。感情で物事を判断しない。知性的で、国際政治に長(た)けていて、胆力があるのが上川氏です。

ただ、年齢が70歳と高齢であることと党内に権力基盤がないことが弱みといえるでしょう。小泉純一郎政権での清和会や安倍晋三政権での麻生氏など、自分が首相になったときに睨にらみを利かせて支えてくれる組織や実力者がいない。

だからワンポイントリリーフになると思います」

■女性対決なら、高市氏に軍配!?

元自民党議員で厚生労働大臣を務めた経験を持つ舛添要一氏はどう考えているのか。

「岸田首相は早ければ予算編成が終わる4月、遅くても自民党総裁選が行なわれる9月には辞めることになるでしょう。そして、安倍派の裏金問題がここまで大きくなってしまうと、安倍派から次の首相候補を出すことは難しい。するとほかの派閥か無派閥から選ぶことになります。

国民に人気の高い石破氏は、党内基盤がゼロに等しい。総裁選挙は票数で決まるのでまず無理です。

では、河野氏はどうか。河野氏は麻生派なのでバックはついているけれども、『あいつだけは絶対に嫌だ』という議員が多く、候補としてまとめるのが難しい。小泉氏は首相になるには若すぎる。茂木氏は国民的にも党内にも人気がありません。

もし、菅 義偉氏(無派閥)がもう一度出てくると党内はまとまるかもしれませんが、それならば自民党は起死回生を狙って、女性を首相にすると思います。

女性の首相候補となると、高市氏か上川氏。どちらかというと、私は高市氏だと思います。彼女は元安倍派なので、安倍派議員の支持を得やすい。知名度もある。当選回数も上川氏より多く大臣経験も豊富。

21年の自民党総裁選での国会議員票では岸田氏に次ぐ2位。党内で拒否する人は少ない。やはり、上川氏と比べるとどうしても高市氏に軍配が上がってしまいます」

大混乱の自民党を仕切れる「ポスト岸田」はこの人しかいない!?
高市早苗 1961年生まれ。62歳。無派閥。経済安全保障担当大臣。2021年の自民党総裁選では、岸田氏、河野氏に次ぐ3位

高市早苗 1961年生まれ。62歳。無派閥。経済安全保障担当大臣。2021年の自民党総裁選では、岸田氏、河野氏に次ぐ3位

高市氏はどんな人物か?

「国民からは、ちょっと怖いようなイメージを持たれているかもしれませんが、そんなことはありません。以前、あるテレビ番組で政治家が時代劇をやるという企画があったんですが、彼女も出てきて一緒にやったことがありました。だから、特に怖いということはないと思います(笑)」

ふたりの話からすると、ポスト岸田は「上川陽子」と「高市早苗」が最有力のようだ。そして、どちらが勝っても日本初の女性首相が誕生する。

2024年の政界は、これまでと大きく変わるのかもしれない。

取材・文/村上隆保 写真/時事通信社