FIFAワールドカップ2026を戦う日本代表に選出された日本代表FW上田綺世(フェイエノールト/オランダ)は、前回大会から今大会までの約3年半で、自らの力で立場を大きく変えた選手の一人だろう。

 FIFAワールドカップカタール2022について、上田は「悔しがる権利もないような感覚でした」と本音を明かす。
当時、上田は2022年夏に鹿島アントラーズからベルギーのサークル・ブルッヘに移籍し、所属クラブでは出場機会を得ている状況ではあったものの、日本代表で絶対的な柱と言える状況ではなかった。

「ギリギリで代表に呼んでもらえた」とは上田の弁。当時、日本代表はFW前田大然(セルティック/スコットランド)がワントップの軸だった。チームの戦い方による影響もあったとはいえ、上田の出場機会は、ターンオーバーを敢行して臨んだグループE第2節のコスタリカ代表戦のみ。個人としてなかなか爪痕を残せず、劇的逆転勝利を成し遂げたドイツ代表戦&スペイン代表戦、さらにはPK戦で敗れたクロアチア代表戦のピッチに立つことはできなかった。

 だからこそ、「期待に応えられず、自分としては、何もチームに貢献できなかった」と語る上田にとって、前回大会は悔しさの残る大会だった。ただし、その悔しさは、日本代表の一員としてベスト16の壁に阻まれたことへの悔しさ“だけ”ではない。上田は「これは僕の主観の話」と前置きしつつ、「チームとしては目標としていた場所まであと一歩ではあったんですけど、僕自身はあまりその感覚はなかった。悔しさという感覚もよく理解できないレベルにあった」と振り返る。

 だが、今大会の上田は、カタール大会の上田とは大きく異なる。サークル・ブルッヘで得点を量産し、2023年夏にはフェイエノールトへステップアップ。在籍1年目は安定した出場機会を得られず、2年目はケガにも苦しめられたが、3年目の2025-2026シーズンにその真価を発揮。
エールディヴィジ(オランダ1部リーグ)では31試合の出場で25ゴールを叩き込み、得点王に輝いた。

 この2025-2026シーズンを振り返った上田が発した言葉は、「結果的に得点王にもなれましたが、チームは2位だったので、正直優勝したかったです。自分自身も調子を落とした時期もあったので、満足いくシーズンだったとは言えないですが、すごく充実した1年だったと思います」と控えめだったが、この3年半、自らの中に積み上げてきた確かな手応えはある。

 “第2次森保政権”のなかで、上田は常にセンターフォワードの柱として躍動を続けた。「代表という場所自体が、自分の中で1番成長を実感できる物差しになっている」と口にした通り、活動を重ねるごとに個の積み上げを実感し、北中米3カ国で共催されるFIFAワールドカップ2026に向けて、一歩一歩、着実に階段を上がってきた。

 今の上田は3年半前の彼とは異なる。森保一監督からFIFAワールドカップ2026に臨む日本代表メンバーに選出された時の心境は、「率直に言うと、ホッとしましたね」と明かしたが、それは自らが築き上げた今の姿への自信があったからだろう。「結果的に、(今の自分は)4年前と比べると立場も違うし、選手としてのクオリティも価値も全く違うものになっている」と口にするなど、彼の中での自負もある。

「僕自身この4年間は充実していたと思います」。こう胸を張る“エースストライカー”は、今月31日に控えるキリンチャレンジカップ2026のアイスランド代表を経て、北中米の地でも貪欲に日本代表を勝利へ導くゴールを狙う。
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