家族が亡くなった際の遺品整理など、“特殊清掃”を業者にお願いしようと思った際、どこの業者にお願いするのがいいのか悩んでしまう人も多いのではないだろうか。多くの業者の中から、良い業者とイマイチな業者を見分ける方法とは?
 都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、詳しい話を聞いた。


見積もり時点で差が出る“良い業者”と“危ない業者”の違い

特殊清掃業者が明かす「ハズレ業者の見分け方」。“安さだけで選...の画像はこちら >>
 実際、見積もりの金額だけが提示され、「どの程度まで原状回復を目指すのか」「どこまでが作業範囲に含まれているのか」といった具体的な説明がなされないケースは少なくないという。

「金額のみを見て業者を選んでしまった場合、失敗してしまう可能性があります。例えば3社に見積もりをお願いしたとして、A社が10万円、B社が30万円、C社が50万円と出しているとしたときに、その作業の中身って全然違ったりするんですよ。低価格な見積もりの場合、どこまでの作業が含まれているのかを確認することが重要です。知名度や広告の量だけで判断せず、見積もり時の説明の質で判断してほしいです」

 そんな中でも、見積もりの段階で「優良な業者」というのが明確にわかる方法があるという。

「提示した作業内容を、お客様にわかりやすく噛み砕いて説明できる業者は良い業者だと思います。こういった説明は、経験や実績がないとできません。特殊清掃は思っている以上の専門性を要求される仕事なのです」

作業後に問題が発生するケースも…

 しかし、作業内容を簡単な説明だけで済ませて、あまり意味のない作業を追加していく業者も多いようだ。

「現場にあるリスクを正しく把握せずに『この感じだと、まあ15万くらいですかね。この薬剤とオゾン脱臭機でパパッとやれば大丈夫ですよ』みたいな説明をされることもありますが、作業が完了しても臭気成分が残ったままになってしまうことも多々あります。中途半端な作業をされると、気温や湿度が高まってくる時期に異臭が戻ってくるというトラブルが起きがちです」

 こうした“作業後に問題が発生するケース”は、実際の現場でも少なくないという。そこで、どういった説明をしてくれる業者が信頼できるかを聞いてみた。

「どういう作業で進めていくのか、工程をどうやって管理していくのか、近隣や作業に関わる人に対してどう配慮するのかなど、依頼に対する作業の全貌を正確に認識していて、リスクや解決策を具体的に提示できる業者は信用できます。特殊清掃業者は、自社施工を掲げている業者であれば、見積もり担当者と現場スタッフが密に連携しているため、作業品質の乖離が起きにくいです」

 つまり、見積もりの段階でどれだけ具体的に作業内容を提示できるかが、その業者の信頼性を測る大きな指標となるということだ。


契約前に必ず確認したいポイント

特殊清掃業者が明かす「ハズレ業者の見分け方」。“安さだけで選んだ人”の末路とは
特殊清掃
 では、実際に見積もりを依頼する際、依頼主はどのような点に注意すればよいのだろうか。価格や作業内容の説明だけでなく、トラブル発生時の対応や追加費用の有無など、事前に確認しておくべき項目はいくつも存在するという。

「『作業工程が変わったことにより、追加の請求はありますか?』や、『作業後に臭いが落ちなかった場合、どういう対応をしてもらえますか?』という質問は必ずすべきです。お客様であるご遺族の方々は、自分たちが部屋の中に上がる前に他人である業者を入れないといけないので、一定の不安はあることでしょう。だからこそ不安に思う部分は全て聞き、『具体的な対応策が返ってこなかった業者はやめておく』というのもありだと思います」

資格不要だからこそ「プロ業者」と「素人業者」の見極めが重要

 さらに問題なのは、専門的な知識や経験が乏しいまま業務を行っている業者の存在だ。知識不足の業者に依頼してしまうと、十分な処理がされないまま作業が終わってしまう危険性も否定できない。

「この仕事は、今のところ資格がないとやってはいけないという業種ではないので、誰でも参入できます。だからこそ見積もりの段階で、この業者はプロなのかアマチュアなのかを見抜かないといけません。ホームページをチェックして、どんな従業員が働いているのかなどの情報がしっかり公開されている企業は安心してもいいと思います。一方で、ホームページに電話番号が載っておらず、申し込みフォームしか設置されていない業者もあるので、そういったところは避けた方が無難です。また、代表者の名前が載っていないホームページの業者なども、責任の所在を明確にする観点から、特定商取引法に基づく表記や、会社概要、代表者名が明記されているかを確認しましょう」

「スタッフ紹介ページ」なども判断材料に

特殊清掃業者が明かす「ハズレ業者の見分け方」。“安さだけで選んだ人”の末路とは
特殊清掃の現場
 一方で、業者側がどれだけ丁寧な説明や情報公開を行っていたとしても、依頼主の価値観や不安によって選定が左右されるケースもあるという。

「以前、お客様から『男性スタッフしかいないのでしたら、お断りさせていただきます』と言われたことがありました。また、外国人スタッフはNGと言われたこともあり、歯がゆさを感じたことがあります。事前にお客様に安心してもらえるように、スタッフ紹介ページは作成しているので、そういったところも見て判断していただきたいですね。
国籍や性別に関わらず、弊社ではプロとして教育を受けたスタッフが対応していますが、お客様の安心感も重要ですので、事前の情報公開には力を入れています」

 価格だけでなく、説明の丁寧さや対応力、そして信頼できる情報開示がそろって初めて「良い業者」といえるだろう。

 見積もりの段階は、業者の質を見極める最大のチャンス。後悔しない選択をするためにも、違和感を見逃さず、納得できるまで確認を重ねる姿勢が何より重要だ。

<取材・文/山崎尚哉>

【特殊清掃王すーさん】
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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