ジャーナリストの石戸諭氏は、事件の真相解明が続く中で、元刑事や警察OB、SNS利用者が“推理”を競うように断定的な情報を拡散する状況に強い危うさを感じている。そうした風潮に対し、「事実を突き詰めるためにあえて語らないこと。この重みを知らなければ、いずれ痛い目を見る」と警鐘を鳴らす(以下、石戸氏の寄稿)。
事件の真相より先に広がった“犯人探し”の熱狂
京都府南丹市の山林行方不明になっていた安達結希さん(11歳)の遺体が見つかった事件が急展開した。京都府警は養父である安達優季容疑者を死体遺棄容疑で逮捕した。殺害を認める供述もあるという。なぜ結希さんは命を奪われたのか? 捜査の行方を見守りたいが、私が気がかりだったのは元刑事を名乗る“識者”たちのはしゃぎっぷりだ。
今回の事件には人々が語りたくなる要素が詰まっていた。結希さんはどこに消えたのか? 本人のものと見られるリュックや靴が離れた場所で見つかったのはなぜか? ちりばめられた謎を解きたい、知りたいという思いが強く出てくるのはSNSの反応を見ていてもよくわかる。その挙げ句、ネット上には当初から“犯人”を特定するコメントや「親族が外国人だから逮捕されない」などという珍説まで飛び交った。こうした流れに乗ったのが一部の元刑事たちだ。
SNS時代の事件報道に必要な抑制とは何か
ある元刑事は、自身の動画で「最初から結希くんが車に乗っていなければ辻褄が合う」と早くから容疑者を断定するようなコメントをして批判を浴びていた。また別の元刑事は行方不明になった当日だけ父親が結希さんを車で送ったこと、その日は結希さんがスマホを持っていなかったことについて、「こんな偶然ある!?」と放言に近い感想を漏らしていた。
元刑事ができるのは自身の経験に基づく捜査状況の解説までだ。今回は彼らが“におわせた”事件像と一致したが、捜査の元プロである彼らが臆測に基づく断定や解説を垂れ流せば、世論をミスリードし、捜査を混乱させかねない。
他方、目立ったのは地上波のニュース番組、新聞各社の抑制的な報道姿勢だ。少なくとも一時の過熱した事件報道は過去のものになっている。過剰な臆測を排して、判明している事実のみを中心に据えて報道しようとする姿勢は過去の批判への応答だ。
あえて皮肉を込めて記しておくが、饒舌な元刑事・警察OBたちを筆頭に、SNSで自らの“推理”を披露する人々は、彼らが“マスゴミ”と批判してきたかつての報道姿勢と変わりない。現場や捜査当局への取材もやっていないことを加味すれば、それ以下かもしれない。仮にも人の命や人権がかかっている案件である。臆測と事実には決定的な隔たりがある。事実を突き詰めるためにあえて語らないこと。
【石戸 諭】
ノンフィクションライター。’84年生まれ。大学卒業後、毎日新聞社に入社。その後、BuzzFeed Japanに移籍し、’18年にフリーに。’20年に編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞、’21年にPEPジャーナリズム大賞を受賞。近著に『「嫌われ者」の正体 日本のトリックスター』(新潮新書)
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