―[あの日夢見た雲組]―

「僕が見たかった青空」、2023年6月15日に乃木坂46の公式ライバルとして結成したアイドルグループ(通称:僕青)だ。
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同グループはセカンドシングル以降、シングル選抜システムを採用。
メンバー21人(1名活動休止中)は、表題曲やメディア出演をしていく選抜の「青空組」と、ライブなどを中心に活動する「雲組」の2つのチームに分かれて活動してきた。

しかし、2026年6月3日にリリースされる8枚目シングル「FUNKY SUMMER」は、結成3周年を迎えるアニバーサリーシングルとして全員歌唱となった。

この連載「あの日夢見た雲組」は、12月17日リリースの7枚目シングル「あれはフェアリー」で活動していた雲組メンバーが何を思うのか。現在進行中の全国ツアー2026春の公演の振り返りとともに、彼女たちの今に注目していく。

前に出られない自分に感じるもどかしさ

全国ツアーは僕青の20人が一緒にパフォーマンスする全体公演だ。少人数の雲組公演ではない大人数の中で、萩原心花は小さくなって前に出られない自分にもどかしさを感じていた。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
萩原 心花(はぎわら ここか)
「全員でのライブになると私は後ろの立ち位置が多いから、見えづらいかなと感じてしまうときもある。でも、ファンの方は私がどこにいてもちゃんと見つけてくれていて、ライブ後にはいつも細かいところまで褒めてくれるんです。それを聞くたびに、もっと頑張らなきゃなって」

ツアー後半戦のスタート。4月25日に行われたZepp Shinjuku(新宿)公演でのライブを終えた後、彼女はそう語った。今回のツアーでは雲組楽曲の「初めて好きになった人」を全員バージョンで披露。会場の奥まで指を指しながら、手を振って声援に応える姿があった。

「曲中に演出でセルフ紙吹雪をやっているんですけど、最初にそれを聞いたときに『自分たちで紙吹雪を降らせるんですか!?』って聞き直したぐらいだったんですけど(笑)。
セルフ吹雪も楽しいですね!撮影可能曲ということもあって、『私のファンの方は全員見つける!』ぐらいの勢いで探しているので、公演中に一番テンションが上がるポイントですね」

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
僕が見たかった青空
雲組楽曲「微かな希望」では、儚さのなかに力強さも感じる表情が曲の世界観を深めていった。「雲組公演で披露したときに、みんなで表情の研究したんですよ。それを思い出しながら気持ちを込めてパフォーマンスしました」。

メンバーの魅力をいつ聞かれてもいいように考えてる

ツアー前半は、神田(東京)、宮城、福岡、大阪、広島と5都市を回った。その中で彼女が最も感じたのは、共に戦うメンバーたちの成長だった。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
僕が見たかった青空
「一緒に踊っていて目が合うと、『良い表情しているな』って思うし、僕青というグループは確実に進化しているなと感じてます」

誰よりも周りのことを見ている、と自負するほど、メンバーに対する愛情は深い。

「僕青のこと好きだから、メンバーの新たな魅力を探したいって思うし、見つけたらちゃんと伝えられる人でいたい。だから、いつ聞かれてもいいように考えてます。勝手にやってるんですけど(苦笑)」

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
写真左:今井優希(いまい ゆき)
一方で、自分のことになると、あまり感情を表に出さないタイプ。落ち込んでいることもメンバーに気づかれたくない。「私には何も魅力がない」と塞ぎ込んでしまう日もある。

「自分の気持ちを言葉にするのが苦手なんです。だから、全員でいるときは一歩引いてグループ全体を見てしまうことが多いかもしれない。
僕青に入る前は、友達なんか要らないと思っていたし、臆病な人間だったから」

「受かったら絶対に買って帰る」と決めていたお弁当

地元・静岡にいるときは人前に出て注目されるのが本当に嫌いだった。中学時代は仲の良い友達とだけ遊び、なるべく目立たないように過ごしていた。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
僕が見たかった青空
「勉強も運動も苦手だから、お昼前にも購買に行ってパンとかポテトを買ってたり、放課後もファストフード店に立ち寄ったり。唯一の楽しみは、食べること。一日5食は食べていたので、当時はかなりぽっちゃりしていました」

彼女は少し恥ずかしそうに笑った。

アイドルに興味を持ったのは、TikTokで見た元乃木坂46・山下美月の切り抜き動画がきっかけだった。「当時は自分がアイドルになれるとは思っていなかったです。そんなことを言う資格のないと思っていたから」。娘の背中を押したのは、母親だった。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
写真右:岩本 理瑚(いわもと りこ)
「お母さんも昔、アイドルになりたかった時期があったらしくて。音楽番組を見ながら、私がひとりで歌って踊っている姿を見て、好きなことに挑戦させたかったのかもしれません。僕青のオーディションを受けるまでに、一緒にダイエットしてくれました」

オーディションには一人で行ったが、会場では「絶対受からない」とずっと震えていた。最終審査で合格と告げられても実感はなかったが、「受かったら絶対に買って帰る」と決めていた高級なお肉が入った弁当の味は今でも忘れていない。


泣きながら覚えたデビュー曲「青空について考える」

静岡から上京してからは夢に見た光景が広がっていた。だが、ダンス未経験の彼女にとってすぐに厳しい現実が襲ってきた。基礎練習でターンすらまともにできなかった。泣きながら覚えたデビュー曲「青空について考える」の振り入れ動画は、今もスマホに保存している。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
僕が見たかった青空
「初心を忘れちゃいけない気持ちが強いですね。3年経つと初心を忘れそうになるときがあるというか、もともと適当な性格だから投げやりになっちゃうことがあるんです。それはよくないなって思っているので、定期的に当時の写真や動画は見返すようにしてます」

そんな彼女にとって、セカンドシングル「卒業まで」以降の選抜制度導入は、さらなる試練になった。デビューから約半年。常に一緒に活動していたメンバーは「青空組」と「雲組」に分けられ、彼女は雲組に配属された。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
僕が見たかった青空
「自分が雲組になったっていう現実が受け入れられなくて、しんどかったですね。雲組のレッスンで(長谷川)稀未ちゃんに励ましてもらって、帰り道には(須永)心海ちゃんと『私たち、どうすればいいのかな』って暗い話ばかりしていました。でも……」

雲組で支え合っていた須永心海や長谷川稀未も青空組に移動していった。「悲しいし、悔しいし、感情のコントロールが上手くできなかった時期もありました」。
心が揺れる中で、うちに籠って現状を嘆いていても何も変わらないことに気づいたきっかけにもなった。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
僕が見たかった青空
「雲組公演やレッスンで周りのメンバーを見て、素敵だなと思うところは真似したりとか、弱い自分を素直に受け入れられるようになってきたことが大きいと思いますね。性格や考え方が変わったなって思うし、楽曲に対する理解も深まったので」

私なりの戦い方で、臆病な自分と向き合う

パフォーマンスやファンサ、MCコーナーでのガヤ――。ステージ上では自分が今できることを探して、挑戦していくように心掛けている。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
コーナー中の金澤 亜美(かなざわ あみ)と萩原
「最初の頃に『もっと殻を破れ』と言われて悩んでいたんですけど、3年経ってステージ上で少しずつ自由にやれているというか。私なりの戦い方で、臆病な自分と向き合えているのかなって思います」

雲組で切磋琢磨した2年半。それを経て、自分にとって大切なものが見えてきた。

「メンバーの強さも弱さも全部が大好きだし、ずっと近くで守り続けたい存在です」

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
僕が見たかった青空
今年3月、静岡県の建設産業の魅力を発信する「静岡どぼくらぶアンバサダー」に、学生時代に土木を学んでいた西森杏弥と共に就任した。地元に貢献したい想いも、少しずつ形になり始めている。

「地元に帰ると、親友や家族が『いつも頑張ってるね』と私の活動を見守って応援してくれているんです。だから、静岡でのお仕事をもっとたくさんしていきたい。それからお洋服がすごく好きなので、ランウェイも歩いてみたいですし、洋服ブランドのモデルにも挑戦してみたいです!」

これ以上は大人にはなれないかもしれない

僕青に16歳で加入した彼女も、6月30日に二十歳になる。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
写真左から、金澤、西森 杏弥(にしもり あや)、萩原、吉本 此那(よしもと ここな)、工藤 唯愛(くどう ゆあ)、岩本
「同学年メンバーの(安納)蒼衣ちゃん、(金澤)亜美ちゃんと一緒に出掛ける約束をしているんです。
蒼衣ちゃんがお出かけスポットを調べてくれて、最初はアスレチックに行こうって誘われたんですけど怖いから嫌だ~って言ったら、最終的に3人でシルバニアファミリーで遊ぶことになりそうです。中学生のときに『私はこれ以上、大人にはなれないかもしれない』っていう予感が当たりそうな気がしています(笑)」

新宿公演のバックステージや楽屋前では、いつものようにメンバーにくっつきながら仲間に囲まれて無邪気に笑う彼女がいる。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
長谷川稀未(はせがわ ひとみ)と楽屋でツーショット
「僕青の曲も好きだし、ステージに立ってパフォーマンスができて、それを見て元気になってくれるファンの方がいる。将来は人を笑顔にする職業に就きたいと思っていたから、その夢が叶えられていることが本当に嬉しいんです。結成3周年記念の野外ライブをする河口湖は、僕青がデビューに向けて合宿した始まりの場所。これまで沢山の愛を貰っているからこそ、120%のパフォーマンスで恩返しをしたいです」

ファンを見つけたときの彼女の笑顔は、誰にも負けないほど魅力的だ。

僕青・萩原心花、臆病で震えてた自分が雲組で見つけた「私なりの戦い方」
僕が見たかった青空
【萩原 心花(はぎわら ここか)】
2006年、静岡県生まれ。公式ニックネームはこっかちゃん。2023年6月15日に結成したアイドルグループ「僕が見たかった青空」(通称「僕青」)のメンバー。結成3周年を迎えるタイミングで、6月3日にアニバーサリーシングルとなる8thシングル「FUNKY SUMMER」をリリース予定。6月20日には河口湖ステラシアターにて「結成3周年記念 僕が観たかった『青空野外』ライブ2026」、さらにデビュー3周年となる8月30日には「アオゾラサマーフェスティバル2026」の開催を控える。最新情報は公式HPをチェック

<取材・文/吉岡 俊 撮影/星 亘>

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