◆JERA セ・リーグ 巨人4×―3広島=延長12回=(1日・東京ドーム)
巨人が広島との今季両リーグ最長4時間39分の死闘の末、今季3度目のサヨナラ勝ち。3―3で迎えた延長12回2死一塁から、吉川尚輝内野手(30)が右翼線に三塁打を放った。
激闘に最高の結末をもたらした。吉川は二塁を回ったところで右手を突き上げた。延長12回にサヨナラ適時三塁打を放ち、今季両リーグ最長4時間39分の試合に終止符を打った。興奮が冷めやらぬ中のお立ち台では「これだけ遅い時間までたくさんのファンの皆さんが応援してくださったので最後まで諦めず勝てたので、本当に良かったと思います」。午後10時45分、とっくに鳴り物応援が終わった東京Dに、4万1814人のナオキコールが響き渡った。
あと1死から畳みかけた。延長12回2死からキャベッジが左前へしぶとく落とす安打を放って出塁。打席が回ってきた。
サヨナラ男を襲名だ。昨年もゴールデンウィーク中の5月4日・阪神戦(東京D)でサヨナラ打を放つなど、通算6度目の劇打。「たまたまです」としながらも、抜群の勝負強さを発揮している。現役時代に球団史上2位タイ通算7本のサヨナラ本塁打を放った阿部監督も「いやもう、最後は勝てたのでうれしかったです」と目を細めた。
昨季は初のベストナインとゴールデン・グラブを受賞。チームリーダーとしての自覚が芽生えた。
昨年は5月ごろから早出練習や試合後の居残り特打を敢行。昨季は1軍打撃コーチを務めた矢野2軍打撃チーフコーチは「技術、野球に取り組む姿勢も学んでほしい」とファームのミーティングで吉川の心身の成長を“手本”にするほどだ。
敵地では3タテを食らった広島に3連勝。2位・阪神との差を1・5に広げ、ゴールデンウィークを最高の形で滑り出した。打率3割1分9厘でリーグトップ。4番の岡本と並んで打線の軸を形成し「後ろの岡本さんが何とかしてくれる。僕は状況に応じたバッティングができれば一番いい」。劇的な勝利をもたらした背番号2が、チームを明るく照らした。
(内田 拓希)
◆堀内恒夫氏Point 救援7人の 0封が勝因
最後は吉川が決めてくれたけど、勝因は田中将の後、石川からケラーまで7人が辛抱強く無失点でしのいだことだね。9回の満塁策や、12回に中川を出さずケラーを続投させたことなど、ベンチの守りの采配もさえていた。
(スポーツ報知評論家)
◆記録メモ 巨人は延長12回、吉川の勝ち越し三塁打で広島戦にサヨナラ勝ち。吉川のサヨナラ安打は昨年5月29日ソフトバンク戦の12回、オスナから二塁打で記録して以来、通算6本目だ。
サヨナラ三塁打は昨年9月21日の楽天戦で柳町(ソ)が打っているが、巨人打者で記録したのは、66年9月10日の産経戦10回に代打でマークした滝安治、99年5月29日阪神戦9回の松井秀喜に次いで、26年ぶり3人目となった。
3点差を逆転。これで今年の逆転勝利は阪神、広島と並びセ最多の5度目になる。このうち5点差をひっくり返した3月28日ヤクルトとの開幕戦、4月19日ヤクルト戦の3点差に次ぎ、3点差以上が3度目だ。
昨年チームの逆転勝利は19度。1点差13、2点差4、3点差と5点差が各1度だったから、3点差以上の逆転勝ちは早くも昨年の2度を上回った。(阿部 大和)