◆JERA セ・リーグ 巨人1ー7阪神(6日・東京ドーム)

 岡本は少々のけがなら出てくる。痛みに強い、けがに強い男が起き上がれなかったのだから相当の痛みだったのだろう。

三塁手の送球が打者走者とかぶった。まだなんとか(走者を)よけている方で、精いっぱいのプレーだ。もちろん前に出て捕ることもできるが、アウトにするにはぎりぎりのタイミングだった。私の現役時代、田代(富雄)さんが同様のプレーで手首を負傷するなど一塁手にとってはけがに直結してしまう。

 気になるのは、明日以降をどう戦っていくのかということだ。代わりなんて他球団を探しても誰もいない。打線の軸は吉川になる。「4番」はこのメンバーの中ではキャベッジしかいないだろう。長打がなくなるのをスピードで補う手も、もちろんあるが一塁に大城卓を入れていくことになるだろう。打撃好調な岸田を一塁で使う手もある。流れを持っている選手で、今季捕手としての出場機会が減り、たまっているものもある。守備の不安はあるが、大城卓と大差はないだろうし、そんなことは言っていられない状況だ。

 また、岡本は精神的支柱でもあった。こういう時こそ士気を上げるベテランの力が必要だ。2軍調整中の坂本だ。阿部監督も同じ考えを持ったのかもしれない。まだ本調子ではない。スタメンで使うかはまた別として、彼が円陣の中心でしゃべる、それだけでも違う。

 巨人の強みは岡本と8、9回の投手だった。これからは得点が少なくても、いかに先発が粘って、大勢、マルティネスにつなぐかという野球がより求められる。送りバントやエンドランなどの作戦も増えてくるだろう。細かいことを全員が責任を持ってやっていく必要がある。

 巨人にとって、セ・リーグのペナントレースにとっても、岡本の存在は大きい。こんな時こそ結束力を高めて一致団結するしかない。

伝統ある巨人。その力を見せる時だ。(スポーツ報知評論家・高木 豊)

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