◆日本生命セ・パ交流戦 2025 阪神8―2オリックス(7日・甲子園)

 阪神・藤川監督の“泣きどころ”に光が差してきた。2点ビハインドの6回先頭。

代打を告げた豊田が好投手・宮城の直球を捉え、右前打を放った。「いい仕事をしたと思いますね」と指揮官。チーム2安打目となる、この一打が球場の空気を変え、その後の森下の逆転3ランの呼び水になった。関西ダービーに連勝し、通算35勝35敗3分けの五分に戻した。

 チームは開幕から原口ら代打で期待した選手が振るわず、代打打率はリーグワースト2割4厘。そんななか、豊田は同6割2分5厘(8打数5安打)の勝負強さだ。球児監督は就任当初から「構想の一つは大事な場面の代打枠。一球にかける思いが強い」と、適性を見いだしていた。28歳の4年目も昨オフに「今年ダメだったら…という思い」と口にし、目の前の打席に臨んでいる。

 3日の日本ハム戦(エスコン)で豊田をDHで起用した際は3打数無安打2三振だった。「あの時の自分の物足りなさ、また1打席になって、みんな瀬戸際と感じるというかね、慣れないことが大事」と藤川監督。5年ぶりの遊撃スタメンの熊谷も2安打1打点と働くなど、個々の状態把握、対戦相手を見極めた采配がさえ渡る。

(小松 真也)

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