◆日本生命セ・パ交流戦 2025 阪神8―1オリックス(8日・甲子園)

 阪神が森下翔太外野手(24)の10号3ラン、佐藤輝明内野手(26)の17号グランドスラムのアベック弾など、8得点で同一カード3連勝。セ・リーグだけでなく、交流戦でも単独首位に立った。

関西ダービーの通算成績も36勝35敗3分けで白星先行。スポーツ報知評論家の金村義明氏(61)は第3打席まで内容の悪かった佐藤輝の修正能力を称賛。森下と2人でONコンビのように、打線をけん引することに期待した。

 試合の流れを決定づけたのは森下の3ランだが、佐藤輝のグランドスラムに成長を感じた。森下が申告敬遠された直後の8回1死満塁で、バックスクリーン右へ鮮やかな一発。打席に入る前に、コンパクトな素振りを繰り返していたように、見事な修正能力と集中力が結果となって表れた。

 第3打席までの佐藤輝は、今季で一番と言っていいほど内容が悪かった。森下の3ランの直後だった3回は、右肩が開いたスイングで外角スライダーを引っかけて一ゴロ。6回はフルカウントから高めのボール球に手を出し、三振ゲッツーに倒れた。前の打者が打てば打つほど、自分も打ちたいと思うのが野球選手の心理。焦りからスランプに陥る黄信号が出ていただけに、最後の打席は見事だし、何よりも価値がある。

 今季の佐藤輝はひと皮どころか、ふた皮むけたと感じている。

ボール球をきっちり見極め、力の抜けたスイングでも打球が飛ぶコツを覚え始めている。昨年までは好不調の波も大きかったが、試合の中で工夫していけるのは、一流打者に上り詰めている証しだ。

 ONと比較するのは時期尚早だが、かつての西武の秋山&清原、ダイエーの小久保&松中のように看板打者がチーム内で本塁打、打点などのタイトルを競い合えば、相乗効果が生まれる。首位快走の最大の要因が鉄壁の投手陣にあるのは間違いないが、佐藤輝&森下も球界を代表する強打のコンビになりつつある。

(スポーツ報知評論家)

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