プロ野球ウエスタン・リーグのくふうハヤテは11日、張賢真(チャン・ヒョンジン)内野手が退団し、母国である韓国プロ野球(KBO)・SSGランダースに育成契約で移籍すると発表した。ちゅ~るスタジアム清水で会見が行われ、張は「早く1軍に昇格し、憧れのソフトバンク栗原(陵矢)選手のように明るくプレーできる選手になりたい」と活躍を誓った。
張は韓国の名門・ソウル高出身。KBOのドラフト指名漏れを経験したが、NPB入りも視野に、23年から2年間、四国IL・徳島でプレー。今季、くふうハヤテに入団して、三塁手など複数ポジションでプレーし、26試合の出場で打率1割5分6厘だった。
来日当初はひらがな練習帳で日本語を猛勉強。それでも「コンビニで『ふくろ』の単語が理解できず戸惑ったことがあった」と懐かしんだ。今では、流暢な日本語でチームメートと冗談を交わすほどに上達した。
移籍先のSSGランダースは現在、リーグ64試合を消化し、10球団中6位。代理人・金弘智さんによると「元々、打撃は評価されていたが、長打力が増し、(NPB)1軍クラスの投手に対しても良い打撃内容を見せた。高校時代は守備に課題があったが、NPBでの試合を通じて対応力が向上し、成長が見られた」ことを評価されたという。2週間前に打診され、10日に契約合意に至った。13日から韓国チームへの合流を予定している。
くふうハヤテに入団後は、トレーナーの指導の下、体重を7キロ増やし、長打力がアップ。守備に関しては、元DeNAの山下幸輝守備走塁コーチと練習を積み重ねてきた。日本でのプレーを経て、変化球への対応力にも自信を深めた。清水港のマグロ丼がお気に入りで、「静岡に来て最初の食事と最後の食事は、どちらもマグロ丼でした」と笑顔。「ハヤテが1軍になったら、フリーエージェント(FA)して戻りたい」と代理人に話すほど、静岡に強い愛着を抱いている。
くふうハヤテの池田省吾球団社長は「チームとしては選手のステップアップを応援したい。(張は)日本以外だけでなく、海外に向けても育成・再生していくチームの一歩を実現してくれた」と語り、今後のさらなる活躍に期待を寄せた。(伊藤 明日香)