巨人の阿部慎之助監督(46)が10日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)から1軍復帰する坂本勇人内野手(36)に引き締め役としての期待を寄せた。福岡入りした9日、再昇格を決断した理由について、若手が多い状況下で「チームにとって、いるいないで違う」と2軍で調子を上げてきた打力や守備はもちろん、豊富な経験や存在感が必要と説明した。
頼れるベテランが1軍に帰ってくる。羽田空港から空路で福岡入りした阿部監督は、10日に約1か月ぶりに昇格する坂本への期待感を示した。
「(打撃面で)何が変わったとかじゃなくて、チームにとっても、いるいないで違うところもあるだろうし。結果を残してほしいというのは正直なところなんだけど、それ以外のことも大事かなと」
戦力としてはもちろん、精神的支柱としても歓迎した。
不動の4番・岡本が左肘靱帯(じんたい)損傷の長期離脱となり5月7日に登録抹消。同日には40歳の長野も再調整で2軍に降格した。2人の代わりにファームで試行錯誤していた坂本が緊急昇格したが、4試合計14打数2安打で同12日に降格。「もっと俺らがやらなくちゃいけないんだって思ってやれるか」と若手を我慢強く起用してきた。
泉口や増田陸がチャンスをつかんでスタメンに定着したのは収穫だが、一方で若手が思うように結果を出せない場面もあった。そんな中で右太もも裏の筋損傷で開幕前に離脱した丸が5月下旬に1軍復帰し、7日の楽天戦(東京D)で代打本塁打、8日の同カードでは5年ぶりの4番で2安打を放った。
「若い選手たちがたくさんいる中で、丸が来てからちょっと締まったところもあるのかなと感じたし。(若手は)ちょっと浮足立っているなというところも見えていたから」
経験豊富なベテランが入ることで、ピリッと引き締まることを再確認した。
5連敗を脱したチームは現在2連勝中と上昇ムードが漂う。そこに丸より1学年上の坂本が入ることでより落ち着き、安心感が生まれる。「そういう意味でも大きなことだと思う。チームにとってもね」。2軍では6月に入って4試合で12打数5安打、打率4割1分7厘、1本塁打。急きょ昇格した前回とは違い、今回は打撃好調で合流するだけに打線の救世主になり得る。
福岡に移動した坂本は「チームに貢献できるように頑張ります」と静かに決意を口にした。スタメンか勝負どころの代打かは、その日によって異なり当日決定となるが、首脳陣は先発出場の場合はDHではなく三塁を守らせる方針。長嶋茂雄さんと同じ三塁、ホットコーナーで熱く躍動すれば勢いがつく。直近の2軍の打席を映像でチェックしていたという阿部監督は「すべてにおいてだと思うよ」と“勇人効果”に期待。
◆今季の坂本
▽4月15日 三塁で開幕スタメンを飾るも11試合出場で31打数4安打、打率1割2分9厘と低迷。試合前練習中、阿部監督に2軍再調整を申し出て、出場選手登録抹消
▽5月7日 前日6日に岡本が左肘靱帯損傷で離脱し、2軍調整から緊急昇格。同日の阪神戦(東京D)で決勝の適時二塁打を放った
▽同12日 1軍再昇格後4試合連続スタメンも計14打数2安打と苦しみ、今季2度目の2軍再調整となった
▽6月6日 イースタン・オイシックス戦(ハードオフ新潟)の6回先頭で左中間席へソロアーチ。今季実戦43試合目、135打席目で初となる本塁打を放った