◆第74回全日本大学野球選手権 ▽1回戦 東海大6-2青森大(9日・東京ドーム)

 大学日本一を決める熱戦が開幕。神宮と東京Dで計6試合が行われた。

東海大(首都大学)は青森大(北東北大学)を下し、白星発進。今秋ドラフト候補の大塚瑠晏(るあん)内野手(4年)が「3番・遊撃」で先発出場。初回に先制2ランを放つなど3安打2打点2盗塁と活躍し、プロのスカウト陣をうならせた。

 強い弾道が右翼席へ描かれた。東海大の主将・大塚は喜びをかみ締め、ダイヤモンドを一周した。初回1死二塁。カウント2―2からの5球目、カットボールを振り抜いた。先制2ランだ。自身初出場の大学選手権。憧れの舞台で名刺代わりの一発をたたき込んだ。「いろんな人が東京ドームでホームランを打って一周する、その気持ちが分かりました」と笑顔で振り返った。

 勢いは加速する。

3回1死では一塁内野安打で出塁すると、二盗を成功させた。6回先頭でも一塁へ強い打球を放ち、ヘッドスライディングで内野安打に。またも盗塁を試み、二塁を陥れた。3安打2盗塁と暴れ、遊撃の堅実な守備でも勝利へ先導した。「とにかく積極的に。『アグレッシブベースボール』を掲げてやっている」。母校・東海大相模のスローガンを地で行き、勝利の立役者になった。

 高校時代からプロ注目の逸材。冬場には動画サイトでソフトバンク・近藤の打撃フォームを参考にして、打力も向上した。巨人の水野編成本部長代理は「ミート力もあるし楽しみ。いい選手」と賛辞を口にし、阪神の平塚スカウトは「走攻守に素晴らしい選手。元々、力がある」と熱視線を注いだ。

 24年1月に就任したOBで元巨人スカウト部長の長谷川国利監督(63)にとっても、初の全国勝利になった。指揮官は「去年に比べ、ボールをミートする、アジャストする能力がすごく上がった。昨年に比べ、三振の数が4分の1くらいになった」と大塚の進化をたたえ、スカウトの眼で「守備・走塁の技術、意識、センスという部分では、上のレベルでもレギュラーの位置づけは十分に考えられる選手」と太鼓判を押した。

 「瑠晏」という名前には、両親の「人を魅了する存在に」との願いが込められている。「目標は日本一。一戦必勝でやりたい」と大塚。東海大、5度目のVへ―。走攻守全てで野球ファンを魅了する。(加藤 弘士)

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