◆第74回全日本大学野球選手権 ▽1回戦 東亜大11-0創価大=延長10回タイブレーク=(9日・東京ドーム)

 大学日本一を決める熱戦が開幕。神宮と東京Dで計6試合が行われた。

東亜大(中国地区大学)は創価大(東京新大学)と9回まで0―0の投手戦を繰り広げ、延長10回タイブレークで大会史上、延長回1イニング最多の11得点。エース右腕の藤井翔大(4年)が3安打12奪三振完封で初戦突破した。

 東京Dのスコアボードに10個の「0」を並べ、東亜大のエース・藤井は拳を握った。創価大を散発3安打12K完封。アマ最強スラッガー・立石を内野安打1本のみの4打数1安打で、2三振を奪った。快投に打線も応え、タイブレークの延長10回に大会史上、延長回1イニング最多となる11点を奪取し初戦突破。「立石さんの前に走者を出さないことを考えた。三振は1つ取れたら上出来。2つ取れたのでうれしい」。同世代を「さん付け」で呼ぶ人柄がまた、素敵だった。

 まるで千手観音だ。上手投げだが、立石との対戦では腕の位置を下げ、サイド気味にしてスライダーの曲がりを大きくした。

「意識的に変えています」。嘉穂東時代はサイドスロー。だが最後の夏は福岡大会3回戦で強豪・飯塚に打ち込まれ、7回コールドで大敗した。「これじゃダメ。上からいろんな球種を投げたい」。転向し、最速145キロに成長。だが大一番で、昔取った杵柄(きねづか)が生きた。

 なぜ主戦投手なのに背番号8なのか。「小4で野球を始めた時、センターで背番号8だったんです。本当は1をつけたかったんですが」。野球継続を希望。一般就活はしていないが、企業チームからまだ話はない。

「結果を残さないと」。未来を切り開く140球だった。(加藤 弘士)

編集部おすすめ