◆日本生命セ・パ交流戦 2025 ソフトバンク5―2巨人(10日・みずほペイペイドーム)

 巨人・坂本勇人内野手(36)が復活ののろしを上げた。不振による2軍調整から約1か月ぶりに1軍復帰。

ソフトバンク戦に「7番・三塁」で先発すると、1点を追う4回、左越えに同点二塁打を放った。6回の左前安打で今季初の複数安打もマーク。先発・井上が2回1死から周東への頭部死球で危険球退場となったが、支配下復帰を果たして即1軍に呼ばれた山田龍聖投手(24)が緊急リリーフ。プロ初登板で3回1失点の好投を披露も、中継ぎ陣が粘れず。チームは3連勝を逃した。

 胸元へ入ってきたカットボールを坂本は腰を鋭く回転してミートした。「次につなぐ気持ちで打席に立ちました」。1点を追う4回2死二塁で左越えへ一時同点の適時二塁打。らしい芸術的な内角さばきで、5月9日ヤクルト戦(神宮)以来の安打を放った。

 岡本が負傷した翌日の5月7日に緊急昇格も、14打数2安打にとどまり同12日に今季2度目の登録抹消。実戦から約1週間離れてフォームを固めることから着手した。やや重心を高くし、力みのない形で6月の4戦では12打数5安打、4割1分7厘で再昇格。

6回にも左前へ運び今季初のマルチ安打で「これを継続していくしかない。少し違う感覚も出てきてるんでもっと良くなるように」。交流戦の通算安打数は329本に伸びた。再起を予感させる復帰戦となった。

 阿部監督は「チームにとっても、いるいないで違う」と精神的支柱としての役割も期待し、約1か月ぶりの再昇格を決めた。2回に井上が周東の頭部に死球を与えると真っ先に駆け寄り、5回の守備では三塁線へのライナーをジャンピング好捕。百戦錬磨の存在感がナインに安心感を与えている。

 3日に長嶋茂雄さんが89歳で死去。若手時代から目をかけてもらった恩人だ。23年4月12日・阪神戦(東京D)の試合前にはベンチ裏で「お前が中心なんだから引っ張れ」と両手を握ってもらいながら激励されたこともある。「巨人軍をずっと支えてくださった大先輩なので、なんとか期待に応えられるように」と決意を新たにした。

 一度はリードしながら逆転負け。

5回以降の好機で決めきれず3連勝は逃したが、坂本が本来の姿を見せたことは何よりの収穫だ。「明日は試合に勝てるように」。ミスターと同じホットコーナーに座る背番号6が、ここから巻き返す。(内田 拓希)

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