◆報知新聞社後援 第74回全日本大学野球選手権▽2回戦 東海大8―1城西国際大=7回コールド=(11日・東京ドーム)

 雨のため神宮で予定されていた4試合は12日に順延となり、東京Dで3試合が行われた。東海大(首都大学)は城西国際大(千葉県大学)に12安打8得点の7回コールドで6年ぶりの8強入り。

「恐怖の8番」兼松実杜(みつと)外野手(2年)が2回に先制左越え3ランを放ち、勢いをもたらした。中京大(愛知大学)は3投手の継投で近大(関西学生)に完封勝ちし、2年連続の8強入り。福井工大(北陸大学)も準々決勝に進出した。

 両手の感触が、着弾点を教えてくれた。東海大・兼松は速度を緩め、ダイヤモンドを一周した。0―0の2回1死一、二塁。低めのスライダーをフルスイングした。大学公式戦1号はチームに勇気をもたらす、値千金の一撃になった。

 「自分も将来、プロ野球選手になってこのような舞台で活躍したいと思っている。東京ドームで1本出て、すごくホッとしています」。春季リーグ戦では8打数1安打と不振。3打数2安打3打点の活躍に「リーグ戦の悔しさを全国でぶつけたいと、強い気持ちで取り組んできました」と笑った。

 「実杜(みつと)」の名は野球好きの父・慎二さんが「捕手になってほしい」という願いを込め、ミットになぞらえ命名した。小学時代は捕手として鳴らしたが、中学からは「チーム事情で」野手に。東海大甲府では主将として3年夏、甲子園出場の原動力となり、高校通算24発をマークした。当時の村中秀人監督は東海大相模、東海大で前巨人監督の原辰徳さんと同級生。「ミーティングでは原監督の言葉や、打撃の教えを指導されました」。原さんが輝く光を浴びたビッグエッグで、アーチをかけた。

 元巨人スカウト部長の長谷川国利監督(62)も「もともとクリーンアップを打つぐらいの力を持っている選手」と称賛した。次戦はチームにとって07年決勝で敗れて以来、18年ぶり2度目の早大戦だ。「勝利にこだわりたい」と兼松。今度は神宮の空に、でっかい放物線を描く。(加藤 弘士)

 ◆兼松 実杜(かねまつ・みつと)2005年7月10日、岐阜・関市生まれ。19歳。

富岡小1年から木津ブライトで野球を始め、旭ケ丘中では愛知瀬戸ボーイズでプレー。東海大甲府では1年秋にベンチ入り、2年春からレギュラー。2年秋から主将。東海大では1年春からベンチ入り。177センチ、80キロ。右投右打。

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