昨年4月の春季県予選以来、1年3か月ぶりの公式戦登板へ。藤枝明誠の筒井結斗投手(3年)が「打たせて取る。

守備から流れを持ってくる」とブルペンで精力的に投げ込んでいる。

 新チーム結成直後の昨年8月に右肘を疲労骨折。年が明けるまで投球練習ができなかった。今春も県予選初戦で焼津中央に0―1で敗れたため出番なし。エース右腕にとって「ぶっつけ本番」の夏になる。

 だが不安はない。県王者として臨んだ1年秋の東海大会準決勝(対愛工大名電)では、4―10の7回に登板。「1点でも失えばコールド負け」という瀬戸際で、2イニングを0点に抑えた実績がある。最近の練習試合でも、県外の強豪を相手に好投中。「気持ちが強い。ヒットは打たれるけれど失点はしない」と光岡孝監督(47)は信頼する。

 身長167センチと大きくはないが、負傷離脱中はポール間ダッシュやタイヤ引きなどで下半身を鍛え抜き、61キロだった体重は5キロ増。

130キロ前後だった球速も138キロまで伸びた。「ピンチになると気持ちが上がる。絶対に抑えてやる、という思いで内角を突きます」。昨年11月から寮長を務め、約50人の仲間の規則正しい寮生活を律してきた。責任感も強い。

 もちろん目標は17年以来8年ぶりの優勝だが「まずは目の前の試合。ひとつずつ勝利を重ねていく」。ノーシードからの快進撃へ。筒井が強いハートで引っ張っていく。(里見 祐司)

 〇…藤枝明誠は今春、焼津中央に初戦で敗れ、15年から続けてきた県大会出場を逃した。「負けた直後の雰囲気はどん底でした」と井手尾哲兵主将(3年)。自分たちの野球や学校生活を見つめ直し、「てっぺんを取るために覚悟を持ってやろう」と意思を統一した。

公式戦がないため、4月から練習に集中することもできた。現在の打順は5番で「チャンスで打ってチームを勝たせたい」と主将は気を引き締め直した。

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