◆日本生命セ・パ交流戦 2025 ソフトバンク0―0巨人=延長12回=(12日・みずほペイペイドーム)
巨人はソフトバンクとの投手戦の末、今季2度目の引き分けに終わった。先発の山崎伊織投手(26)が8回4安打7奪三振、今季最多120球の無失点投球を披露。
負けなかった。全員で守り切った。8回無失点の先発・山崎から計6投手の執念継投で12回まで相手に得点を与えなかった。阿部監督は「ピッチャー陣、頑張ってくれた。もちろん守っている野手も頑張った。みんな必死でやってるから。これはもう勝ちに等しいと思って明日からやりたい」と前向きに受け止めた。セ・リーグ他の5球団は敗戦。巨人が唯一、負けなかった「ひとり分け」で半歩前進し、3位に浮上した。
価値ある引き分けとなった中で、阿部監督がどうしても許せないプレーがあった。6回、先頭の増田陸が相手先発の大関からチーム初安打で出塁。無死一塁、続くリチャードの初球で盗塁死した。ヒットエンドランのサインをリチャードが見落として振らなかった。1死となって中飛に倒れ、打率9分5厘に下降すると、直後の6回の守備から門脇に交代。それだけでなく2軍降格も決めた。
「リチャードを落とす。自分が打つ打たないじゃなくて、ボーンヘッドは許されないので。エンドランかけたんだけど。チームが勝つために、こっちも度胸据えてサイン出してるんだって。お前が打つ打たないじゃないんだって。そこを考えを変えて野球やってみてくれとお願いした」
5月に秋広、大江とのトレードでソフトバンクから移籍したリチャード。
代わりに13日のオリックス戦(京セラD)から誰を呼ぶか。阿部監督は試合後に大抜てきを決断した。「(育成選手の)三塚を支配下にして、三塚を(1軍に)入れる」と緊急支配下登録して即昇格させると明言した。豪快なスイングが魅力で一塁、外野を守る左投げ左打ち、高卒3年目の大型野手。この日のイースタン・日本ハム戦(Gタウン)で本塁打を放ち、出場19試合目ながら4号はチーム2位タイ。打率3割5分7厘とアピールしていた。
今季の育成選手からの支配下昇格は戸田、笹原、山田、鈴木大に続いて5人目。阿部巨人にさらなる新風が吹く。この日、左脚違和感で3回の守備から途中交代した若林の予備として鈴木大も13日から1軍に合流する。
◆記録メモ 12日の交流戦はセ・リーグの5球団が敗戦。引き分けの巨人だけが負けなかった。05年から始まった交流戦で、1日に巨人以外のセ5球団が敗戦は14年6月14日以来、11年ぶり9度目。過去8度は巨人が勝利しており、引き分けは今回が初めて。