◆報知新聞社後援 第74回全日本大学野球選手権▽2回戦 北海学園大7―1佛教大(12日・神宮)
4年ぶり出場の北海学園大(札幌学生)が7―1で佛教大(京滋大学)を下し、1979年以来の8強入りを決めた。2番・下向(しもむかい)航中堅手(4年=浦河)が4安打1打点3盗塁で、計12安打を放った打線をけん引し、1958年以来67年ぶりとなる1大会2勝目を呼び込んだ。
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“浦河の星”が大学野球の聖地で輝いた。北海学園大・下向は、4安打1打点に加えて50メートル6秒0の俊足を生かして3盗塁。1回戦の2安打に続くマルチ安打で8強に導き、「前回の試合は4年生が不甲斐なかった。4年生が決められるように、というのを意識してやれたので良かった」と汗をぬぐった。
9日の上武大戦に続き2番で先発出場すると、1回にいきなり持ち味を発揮した。内野安打と盗塁で好機をつくり、内野ゴロの間に先制のホームイン。4回は2死三塁から直球を左前に運び、今大会初の適時打を放った。勢いは止まらず、「学生コーチから(投手が)2・5秒以上持ったらけん制はないという指示があった」と、直後にこの日2個目の盗塁を成功。5点目のホームを踏むと、6回に内野安打と盗塁、8回にも中前安打を放った。
馬産地で有名な日高管内浦河町出身。公立の浦河高校では高校3年時の部員数が3学年で13人と少なく、公式戦は3年間でわずか3勝(20年夏の独自大会を除く)。
右手にはめるグラブには「輝く浦河」と刻まれている。対戦相手は甲子園常連の強豪校出身選手も多いが、時折その刺しゅうを見返し、反骨心を胸に初の大舞台で躍動を続けてきた。次戦は大学球界でトップクラスの選手が揃う王者・青学大。「自分は無名校出身なので、有名な私立出身の選手には負けたくない」。大学卒業後も企業などでの競技継続を希望しているが、現時点で進路は未定。自身の就職活動、そしてチームの1958年以来の4強入りのためにも、まだまだ暴れ回るつもりだ。
(島山 知房)
◆下向 航(しもむかい・こう)2004年1月11日、浦河町出身。21歳。荻伏小2年時に荻伏野球スポーツ少年団で野球を始める。
〇…目標の8強入りを果たしたが、島崎圭介監督(53)は投手陣に苦言を呈した。打線は活発だったものの、最速159キロ右腕・工藤泰己(4年=北海)を含めて4人の投手が計7四死球。3者凡退は1イニングのみとテンポの悪い投球が続き、「ピッチャー出身の人間としてはちょっと不満ですね」と顔をしかめた。次戦は優勝候補との一戦。指揮官は「テレビでしか見たことのない青山学院大学ですから、光栄なので、胸を借りるつもりでぶつかりたい」と意気込んでいた。