◆日本生命セ・パ交流戦 2025 オリックス2×―1巨人=延長11回=(14日・京セラドーム大阪)

 売り出し中の切り込み隊長が、難攻不落の牙城を崩した。泉口友汰内野手(26)は両手をたたいて二塁ベースに滑り込んだ。

「追いつくことができてよかった」。0―1の8回2死二塁で5球目の外角直球を流し打ち。一時同点の左前適時打で、快投を続けるオリックス・宮城から貴重な1点をもぎ取った。

 両軍無得点の3回2死二塁では外角直球を4球続けられ、カウント0―2から150キロに手が出ず見逃し三振。「手も足も出なかったので、絶対にやり返す気持ちでした」。得点圏では37打数14安打で打率3割7分8厘の勝負強さを誇るだけに、同じ轍(てつ)は踏まなかった。

 あの時と同じだった。プロ初の決勝打で戸郷のノーヒットノーランをアシストした昨年5月24日の阪神戦(甲子園)。0―0の5回にネクストサークルへ向かう前、オコエから「俺が得点圏に行くから、お前の1本でかえる。2人で決めよう」と声をかけられた。先輩は言葉通り単打と盗塁で1死二塁をつくり、泉口の左前適時打で生還した。

 この日、2死から二塁打で突破口を開き、好走塁で生還したオコエは「泉口が後ろにいてくれるのは心強い」と信頼する。

足と状況判断でチャンスをつくれるオコエと、勝負強い泉口のコンビ。1年前と同じ2人で1点をもぎ取った。試合後は「勝ちたかったです。それだけです」と悔しさをにじませた泉口。地元関西で存在感を示した男が、苦しむ打線をけん引する。(内田 拓希)

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