◆日本生命セ・パ交流戦 2025 巨人2―1西武(20日・東京ドーム)
顔色一つ変えず、赤星は帽子のつばを握り締めた。同点の6回。
6回を89球で7安打1失点。直後に、22年6月23日のDeNA戦以来1093日ぶりに先発バッテリーを組んだ小林の勝ち越し打が生まれ、5勝目が舞い込んだ。お立ち台では「誠司さんはずっと『組みたい』と話をしてくださっていたので、本当にうれしかったです。優しい言葉をすごいかけてくれるので、僕も強気な気持ちでいきました」と感謝を口にした。
大胆に攻めた。2回2死一、三塁、西川の二塁内野安打で先制されたが、小林への信頼は揺るがなかった。「1年目の時から、(バッテリーを)組んでいる時も組んでない時も声をかけてくださった。僕も投球に生かせたし、実際に組んで、やっぱり頼もしかった」。
器用に、たくましく進化を遂げている。1年目の22年、入寮時に部屋の片付けを手伝うほど仲良く、小学時代のチームメートだった宇都宮誠卓さんは言う。「手先が器用で、けん玉とかコマとかが得意だった。トランプでタワーを作ったりもしてましたし、なんでもできちゃう」。今季は春季キャンプでインステップ気味に投げる新フォームに改造。シーズン途中に球速が10キロ速い高速カーブを習得するなど、器用さを生かしてきた。「伸び悩んでいたところもあったので変えていかないといけない」と、変化を恐れない姿勢が結果につながってきた。
5勝目は早くも自己最多タイ。「今までだったら途中で2軍に行ったりしていた。
◆清水隆行氏Point
赤星は4回以外、毎回走者を背負ったりと決して楽な投球ではなかったが、粘り強さが光った。前回登板の13日のオリックス戦(京セラD)では四球、四球で塁を埋めての長打からビッグイニング献上という悔しい投球だった。反省を踏まえて慎重に入りたくなるところだが、強気にゾーンに構える小林のリードに応えるように1死球こそ与えたが無四球で要所を締め続けた。
今季はここまで安定した投球を見せているが、同じ内容を2度続けてしまうと信頼も揺らぎかねない。この日勝ちがついたのは本人にとって大きい。(野球評論家)