◆米大リーグ ヤンキース3―5オリオールズ(20日、米ニューヨーク州ニューヨーク=ヤンキースタジアム)
オリオールズの菅野智之投手(35)が20日(日本時間21日)、敵地・ヤンキース戦に先発。メジャー最短となる3回2/3で降板し、7安打3失点で防御率は3・55となった。
唇をかみ締め、菅野はマウンドを降りた。敬遠策の末に、勝負の機会は与えられなかった。
「さっきの何だったの、っていうのはありました。ジャッジを歩かせて、次の打者で勝負。こういうボールで攻めて、最後はこれで仕留めて…。プランニングまで話していたので」
4回2死二塁のピンチで、フレンチ投手コーチが通訳を伴い、マウンドへ。3回の第2打席で右中間へ一時勝ち越しの27号ソロを打たれたジャッジに対して、ベンチの策は敬遠だった。渡米後、348人目の打者で初めて下った敬遠司令。次の打者に気持ちを切り替えていると、今度はマンソリーニ暫定監督がマウンドへ。
「屈辱的ではありますけれども、今日の内容からしたら、しょうがない。そういうのを受け入れなきゃいけないしね。あそこで勝負してもらえるような信頼だったり、そういうものを作っていかないといけない」と自分に言い聞かせるように言った。
初回に味方打線に2点の援護をもらったが、立ち上がりに苦しんだ。連続四球の後、ジャッジの中前打で満塁とされ、チザムに左前適時打を浴びた。スタントンの空振り三振で1死を奪うまで25球を要し、中犠飛でこの回同点にされた。与四球率はリーグ6位の4・3%と制球力を誇る菅野だが、与えた16四球のうち5つが先頭打者へのもの。先頭打者の被打率は3本塁打を含み、3割5分1厘。全34失点中12点が初回の失点となっている。
「自分の中では、そんなに悲観する内容ではないと思います。本当に立ち上がりだけなので。プロに入って200何登板してますけど、(立ち上がりは)難しい。ヨーイドンからしっかりと自分の形を出せるようにしたいです」
反省と同時に手応えもあった。セットポジションからの制球の改善に努めた中5日。この日は全6球種で球速が上昇。必要な場面で三振を奪った。2度目の対戦となったヤンキース打線からは「低めのスプリットを絶対振らないぞという意思が見えた」と言う。ヒントはチザムの2打席目。捕手のサインに首を振り、真ん中へ、スプリットを投じて見逃し三振を奪った。「あの1球が答え。ああいうボールを序盤から使っていけば、結果は違ったのかなと思う」と冷静に分析していた。