第107回全国高校野球選手権長野大会の組み合わせ抽選会が21日、塩尻市内で行われた。県立進学校・諏訪清陵は五味遥花マネジャー(3年)が主将を務め、勝負の夏に臨む。

女子マネジャーの主将は極めて異例。7日に野沢北との初戦が決まった。

 大役を任されたのは、17歳の女子高生だ。「諏訪清陵高校、26番」。他校の男子主将に劣らない、力強い声が会場にこだました。中学ではバレーボールや陸上に親しんだが、野球経験はない。「野球部は上を目指す人たちが集まる組織。そういうところに身を置いてみたいな」と、高校では2学年上の兄・遼太さんが在籍する野球部のマネジャーの道を選んだ。

 人生が変わったのは昨秋。自ら率先して動く姿が監督に評価され、主将に抜てきされた。今は自身やマネジャーを含め総勢31人の部員をまとめる。「自分のプレーでチームを引っ張ることはできない。

選手と見え方が違うのが主将として難しかった」。選手と積極的に関わることで、自分なりにチームと向き合ってきた。

 チームは春夏の甲子園出場こそないが、96年と04年夏には長野大会準優勝。今春の地区大会では3位となり県大会にも出場した。練習メニューの作成は主将の担当で、インターネットなどを参考にして組み立てる。放課後の2時間半の練習後は近隣の駅の学習スペースで2時間机に向かい、それが終わると、午後9時頃ようやく帰路に就く。「目の前のことを頑張る」と“激務”をこなしてきた。

 「選手に厳しい指摘もできる、主将にふさわしい存在」と西沢崇浩部長(49)は目を細める。「ここから2週間準備して、しっかり臨んでいきたい」と五味主将。来たる勝負の夏を見据え、表情を引き締めた。(北村 優衣)

 ◆五味 遥花(ごみ・はるか)2007年12月16日、長野・茅野市生まれ。17歳。

諏訪清陵付属中ではバレーボール部・陸上部に所属。諏訪清陵では2年秋から主将。身長159センチ。好きな芸能人はあいみょん。

 ◆拡大する女子マネジャーの業務 日本高野連は22年夏の甲子園から女子部員がノック補助などを務めることを認め、23年春からノッカーも可能とした。ただし、「普段の練習で活動している範囲内で行うこと」とした。23年センバツでは城東(徳島)の女子マネジャーが試合前練習で女性初のノッカーを務め、ユニホーム姿で約1分半、17本のノックを行い、歴史の扉を開けた。

 なお、女子部員としては、東尾凜さんが三田西陵(兵庫)の主将を務めた例などがある。22年夏甲子園で、当時同校3年だった東尾さんは開会式の入場行進で先導役を務めた。

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