ドジャースのD・ロバーツ監督(53)が新たな“勲章”を手にした。6月14日(日本時間15日)にドジャースタジアムを訪問した玉城デニー沖縄県知事から「沖縄県県民栄誉賞」を贈られた。

 同賞は「勇気と希望を与える活躍をしており、広く県民に敬愛される著名人」に贈られるもので1999年以降、沖縄県出身のオリンピアンやアスリート、歌手らが受賞している。11件目の受賞となったロバーツ監督は、初めての海外で活躍する“ウチナーンチュ”(沖縄出身者を指す方言)だ。「沖縄は自分の出生地。このような形で認められるのは非常に光栄なこと」と、満面の笑みを浮かべた。沖縄が日本に復帰した1972年に那覇市で生まれた。母親は沖縄県出身の日本人、父親は米国人。生後3か月を沖縄で過ごした。

 「これからも責任を持ってウチナーンチュとしての姿を皆さんにお届けしたい」と語った指揮官。この受賞を誰よりも喜んだのが母・栄子さんだ。「この賞を受賞したことをママがとても喜んでいるから、知事もママと話してほしい」とロバーツ監督は玉城知事との面談の最中に最愛の母に電話を掛けた。栄子さんが電話口に出ると、玉城知事にスマートフォンを手渡した。「いやもう本当に感謝です。

ありがとうございます」とうれしそうに何度もお礼を言った。生後3か月の小さな息子を抱いて後にした故郷・沖縄が今、息子の活躍をたたえている。栄子さんの喜びも一層だったことだろう。

 細かな気遣いも心にしみた。玉城知事が、ロバーツ監督へ持参した手土産は「紅芋タルト」「スッパイマン」「ちんすこう」というお菓子の数々。「お母様に差し上げてください」。いずれも沖縄県民になじみの深いもので、栄子さんに故郷の味を楽しんでもらいたい思いが込められていた。「私も一緒に食べてもいいかな?」とロバーツ監督は大笑いしながら、感謝を示したという。

 授賞式後の始球式。戦後80年の節目で平和を求めるウチナーンチュの心を世界に発信したいという想いが込められた背番号「80」のユニホームを着てマウンドに上がった玉城知事のボールを、捕手役を務めたロバーツ監督が受け取った。ドジャースを通じてつながれた沖縄とアメリカの縁。さらなるチームの活躍が、多くの人々の励みになっていきそうだ。

(村山みち通信員)

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