◆第107回全国高校野球選手権北海道大会地区予選 十勝地区Bブロック1回戦 芽室14-4本別※6回コールド(21日・帯広の森)
函館、十勝、釧根で地区予選が開幕した。十勝地区では、芽室が14―4の6回コールドで本別に勝利。
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寒さで白くなった息、かじかんだ手足。苦悩の冬を思い返しながら、芽室ナインは校歌を口ずさんだ。夏の勝利は2019年(20年の独自大会を除く)以来。現役部員にとっては初めての夏の勝利に、斉藤陸主将(3年)は「つらかった思い出がこみ上げてきた。ハウスがつぶれてからも自分たちができる練習を積み重ねてきた結果。達成感がある」と喜びをかみしめた。
初回にいきなり3点を失ったが、過酷な環境で鍛えた打力で試合をひっくり返した。0―3の3回。この日2安打5打点の2番・小林玲生右翼手(1年)が無死満塁から走者一掃の適時二塁打を放つなど、5打数連続安打で一挙6得点。近年では異例の11人が入部した1年生の活躍もあり、5回にも打者一巡の猛攻で6点を追加し、15安打14得点で突き放した。
2月初旬。十勝地方を襲った記録的な大雪の重みに耐え切れず、父母による後援会で造られた室内練習場が倒壊した。全長約30メートルのビニールハウスは復旧不可能な状態となり、硬式球を使える貴重な屋内練習場を突如失った。グループLINEに送られてきた写真を目にした瞬間、斉藤陸は「すごい絶望。不安だった」という。
雪解けまで約2~3か月。チーム内でも動揺はあったが、限られた環境の中で前に進んだ。朝のみ使用できる学校の体育館で、午前7時からの朝練を開始。放課後は雪が積もったグラウンドでノックを受け、マイナス10度を下回る中でもバットを振り続けた。帯広農の室内練習場を2度借りて硬式球での打撃練習を積むこともでき、奥恭平監督(35)は「(帯広農の)西川先生が『合同練習しませんか』と温かい言葉をかけてくれたり、支部の結束を感じた。感謝しかない」。他校の支援も受けながら、長い冬を乗り越えてきた。
6年ぶり勝利の勢いに乗り、2回戦は2年連続敗戦中の帯広南商と激突する。斉藤陸は「因縁の相手。三度目の正直で勝ちたい」。逆境を力に変え、夏23年ぶりの2勝目を目指す。(島山 知房)
〇…帯広緑陽はCブロック1回戦で足寄に6-1。公式戦初先発の堀が、138球で9回を投げ切った。1回は「足が震えました」と3連続四球を与えたが、好守に救われて無失点。2回以降はスライダーを軸に凡打の山を築き、9三振を奪って1失点でしのいだ。小学校の頃から夕食時にどんぶり茶碗2杯の米を食べ続け、身長は191センチまで伸びた。体重も86キロまで増加。たくましい体格の背番号3は「まずは(次戦の)十勝連合さんに勝てるように頑張りたい」と力を込めた。