◆米大リーグ ドジャース13―7ナショナルズ(22日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 大谷は663日ぶりの投手復帰となった前回登板より、力みもなく本来の投球ができてきた。ツーシームは使わず、スライダー、カットボールの曲がり球とスプリットで抑えるスタイル。

この日の最速は159キロで前回のように100マイルは出なかったが、全体的なバランスはとてもよく映った。

 一般的にシーズン開幕前ならオープン戦、故障明けならマイナーで登板と投手は段階を踏んでくるが、打者としても出場を続ける大谷にはそれができない。調整登板では自分の体の動きの確認や内容にフォーカスできるが、公式戦では緊張感も疲労も段違いで、何より抑えることが最優先。それでも確認と結果の“両獲り”できるのが大谷のすごさだ。前回が1回28球、今回が1回18球。通常なら調整は登板ごとに球数を増やしていくものだが、少なくともオールスターまでは体の状態を優先して慎重を期していくだろう。

 しかし、やっぱり投げることで、打つ方にもリズムが出る選手だとつくづく思わされた。表情も明るく豊かだし、楽しんでいることが分かる。二刀流時の大谷にしか出ないアドレナリンもあるのかもしれない。(野球評論家・髙橋 尚成)

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