巨人のライバルだった名選手の連続インタビュー「巨人が恐れた男たち」。第6回は“世界の盗塁王”こと元阪急の福本豊さん(77)=スポーツ報知評論家=だ。
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取材後記 肩の力が抜けた、ひょうひょうとした語り口。昭和のプロ野球選手=サムライのイメージが強いが、福本さんは「達人」という表現の方がしっくりくる。
ただ、ピリッと刺す言葉は鋭い。「今の巨人はなんかオーラがないなあ。もっとガツガツいうのがほしいな。腹の減ったライオンみたいな…」。もちろん、「腹の減ったライオン」は若い頃の自分自身の比喩でもある。
グラウンドに工作して盗塁を妨害された経験は「怒」の章でも触れたが、ピッチャーが足元へ投げてくるのも日常茶飯事。死球のよけ方もまた、日々の練習の一部だった。「ギリギリの攻防が技術を上げんねん。野球も格闘技と一緒やで」。
◆福本 豊(ふくもと・ゆたか)1947年11月7日、大阪生まれ。77歳。大鉄高(現阪南大高)、松下電器を経て、68年のドラフト7位で阪急(現オリックス)に入団。2年目から13年連続盗塁王。72年は当時の“世界記録”となる106盗塁。通算1065盗塁、115三塁打はNPB記録。外野手部門でダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデン・グラブ賞)も歴代最多の12度受賞。88年に引退し、2002年に殿堂入り。左投左打。