巨人3軍は、22日までに27勝6敗2分けと白星を積み重ねている。駒田徳広3軍監督(62)がここまでの戦いを総括。
3軍は育成の場ではありますが、進塁打やバント、走者をかえす打撃などの技量が伴ってきたことで、勝利を重ねることができています。選手たちが勝利に必要なものを覚えてくれている証拠で、技量が上がったことで首脳陣の意図も伝わるようになってきました。
就任4年目を迎え、強く感じていることがあります。それは選手の技量が追いつかない状態で、首脳陣がやらせたいことを伝えても無意味だということです。特にバットで生きてきた人間の指導は、選手の体が動かなくなるまで言い切ってしまうことがあります。たとえ正論だとしても、選手に致命的な傷を負わせてしまうことになりかねません。
僕自身、忘れられない現役時代の出来事があります。思うような結果が残せていなかった2年目の東北遠征。宿舎の横の公園でほかのみんなは素振りをしている中、一人ベンチに座っていました。コーチから「どうしたんだ?」と聞かれ、「王(貞治)助監督や2軍監督、打撃コーチが言っていることも全て理解しているつもりです。でも僕の手と足がそう動きません」とボロボロ泣きました。
選手に同じ思いをさせてはいけない。だからこそ、今は金城3軍野手総合コーチを介して、彼のやり方で伝えてもらうことを多くしています。「50%までは伝えました」と報告もしてくれますし、監督とコーチが互いを信頼し、僕は選手を観察して成長を楽しみにしているだけでいいのだと考えています。
個々の選手では、三塚が支配下に昇格して1軍を経験しました。先発出場した14日(オリックス戦)は群馬に遠征中で、これまで自軍の選手が紹介されていても知らん顔で食事をしていた選手たちが、iPadで試合を確認していました。非常に大きな刺激をもたらしてくれたと感じています。
来月は中日の2軍との試合も予定されています。高卒2~3年目のメンバーで勝たなければ意味がありませんし、「巨人の3軍はプレーの一つ一つが違う」と印象を与えられるようにしなければいけないと考えています。(巨人3軍監督)