◆米大リーグ ガーディアンズ10―5オリオールズ(21日、米オハイオ州クリーブランド=プログレッシブフィールド)
オリオールズの菅野智之投手(35)が21日(日本時間22日)、敵地・ガーディアンズ戦で後半戦初登板。先発し、6安打4失点(自責3)で渡米後最短タイとなる3回2/3で降板したが、勝敗はつかなかった。
味方打線が初回3得点。援護をもらった菅野が、初回から苦しんだ。1番・クワンに四球を与え、続くマルティネスに右前打、さらにラミレスに甘く入った直球を右翼席に運ばれ、1死も奪えず、13球で3失点。今季20本目の被弾は有資格先発陣でメジャー5位タイだ。2回無死満塁、3回2死一、二塁のピンチを無失点で食い止めたが、4回は2死から味方の失策と四球で一、二塁とされ、サンタナに右前適時打を許し、1点差に迫られて降板。ゴロをはじいた一塁手・オハーンの肩を「気にするな」というかのようにたたいてマウンドを降りた。
対ガーディアンズは7回2失点でメジャーで本拠地初勝利を挙げた4月17日(同18日)以来。無四球だった前回対戦とは裏腹に、この日は自己ワースト5四死球1暴投。与四球率5・2はメジャー先発陣でトップ6の安定を誇るが、この日は制球が乱れた。
前回登板のメッツ戦(11日)で、右打者を10打数無安打と黙らせた菅野に対し、敵軍は左打者5人と4人の両打ちを先発に並べる“完全左打線”。巨人時代を通じて菅野の記憶にも「多分ない」という。渡米後は、左打者にスプリット主体で攻めることが多かったが、この日は無死満塁の場面で自らスイーパーを要求した。
「あそこで開き直ってスライダーで行かせてくれと言って。2回以降、カットボールやスライダーを増やした。そこからヒットは最後の1本だけだと思う。場面、バッターによる使いどころは大事なところ。データだけに頼ってしまうと、今日みたいなことが起こる。いろいろなことをしていかないと抑えられない。ある程度、自分主体で考えたいと思いました」
日米の印象の違いから、左打者にスイーパーを投げる機会が激減していたが、土壇場で直感を信じ、ダメージを最少に抑えた。「なかなか難しいところ。ただ、次の試合からもうちょっと思い切ってやってみようかなと、吹っ切れた感じはします」
チームは44勝55敗で7月末のトレード期限まで残り10試合。
「今日の試合もどれだけ大事かというのは分かっていた。初めてのことで、コントロールできないけど、このチームに愛着がありますし、何とか皆で勝とうと思ってやっている」とオリオールズ愛を口にした菅野。「基本的に、考えてもコントロールできないことは考えないようにしている。その時になったら考えればいいと思いますし。今は一日一日、次の試合に向けて準備する、という当たり前の繰り返ししかできない。できることに集中して、そうならないことを祈りますけど、そうなった時にまた考えればいいかなと思います」と雑念を封じ、次回登板に死力を尽くす。