◆第107回全国高校野球選手権大会 東東京大会▽準々決勝 岩倉6―2帝京(23日・神宮)

 14年ぶりの甲子園出場を狙う帝京は岩倉に2―6で敗れ、ベスト8で姿を消した。

 またしても、壁を超えることはできなかった。

先発した帝京のプロ注目右腕・黒木大地(3年)は先制2ランを浴びるなど3回3失点で降板。7回からマウンドに上がった背番号1の村松秀心(3年)もリズムに乗れず、3失点と苦しんだ。打線は岩倉バッテリーの徹底的な内角攻めに対応できず、9四死球のチャンスを得たが好機で仕留めきれずに計5安打。6回、9回に1点ずつ返すのがやっとだった。

 昨年は関東第一に敗れて準優勝。強力打線がウリだった前チームと異なり、つないで打率を上げることを目指し、練習試合や春までの公式戦でも少しずつ自信を深めてきた。投手層の厚さは東東京でも屈指。V候補ともされたが、投打に歯車はかみ合わなかった。試合後、選手たちは膝から崩れ落ち、大粒の涙を流した。「超越」のスローガンを掲げ、期待や責任を背負いながら名門復活に全てをかけてきた球児の、本気の表れだった。

 第2打席から4連続死球、9回2死二塁には頭部に死球を受けたものの制止を払ってでも一塁へ駆け出そうとした梅景大地主将(3年)。「主将、4番の責務を果たせなかった。

1打席目のチャンスで打たないといけなかった」と試合を振り返り、中軸、エースナンバーも背負った村松も、こみ上げる涙をこらえながら「自分が負けさせてしまった。本当に情けない。甲子園は遠かったと言いたくないけど、結果負けたので。遠かった」と言葉を絞り出した。

 この日もピンチが訪れるたびにナインは、帽子のつばの裏に金田優哉監督が直筆で書いてくれた「魂」といった文字を見つめて、それぞれ気持ちを奮い立たせていた。指揮官は「本当に選手は信じてついてきてくれて。選手の力を発揮させてあげられなかったのは監督、指導陣の責任。大会通じて先取点が取れなくて、なかなかうまくいかなかった。1年間やってきた成果が出し切れなかった、そういう意味ですごく悔しい」と敗戦を受け止めた。今大会ベンチ入りした下級生は8人。この結果を糧に、チームは再出発しなければいけない。(雑誌『報知高校野球』取材班)

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