◆第107回全国高校野球選手権大会第8日 ▽2回戦 京都国際6―3健大高崎(13日・甲子園)

 熱戦をともに繰り広げたライバルに、夢を託した。鳥羽の村上冬万(とうま)主将(3年)が三塁アルプスから球場全体を見渡していた。

「夢見てたけど叶わなかった場所。その気持ちも込めて」。7月27日に行われた京都大会決勝(わかさスタジアム京都)で京都国際に3―4のサヨナラ負け。終えたはずの最後の夏に、エピローグがあった。

 まだ失意の中にいた4日、京都国際・小牧憲継監督(42)から連絡が入った。「甲子園に友情応援へ来てくれないか」。村上の心は躍った。「いい勝負を決勝でやらせてもらった。自分たちも応援で力になりたい」。真っ赤なハチマキとメガホンを握って、誰よりも大きな声で全力でエールを送った。

 前日(12日)には、倉橋翔主将とSNSで連絡を取り合った。「明日、頑張ってな!」と送ると、「朝早いけど、応援頼む!」と力強い言葉が返ってきた。

思いも届いたのか、優勝候補の健大高崎に快勝した。「まだまだ応援に来たい。いいチームなので、絶対勝ってほしい」と村上。「昨日の敵は今日の友」を体現するすがすがしさだった。(藤田 芽生)

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