◆JERAセ・リーグ 広島0―2阪神(13日・マツダスタジアム)
らしさ全開の13球だった。阪神・石井大智投手(28)は2―0の9回に登板。
NPB史上唯一の5年制高専卒業選手。四国IL・高知を経て、20年ドラフト8位から成り上がってきた。マウンドでは豪快な投球スタイルでも、素顔は控えめで目立つことを嫌う。侍ジャパンに選ばれた今も、独立リーグ時代のパーカーを愛用。「華がある方じゃないから」と私生活は大きく変わることはないが、夢を見せる時もある。
4月6日。高知の主催試合で現役プロ野球選手としては異例の冠試合を開催した。100万円を自腹で負担。
今季は6月に打球が頭部を直撃。離脱中にトレーナーを通じて毎日コンタクトを取っていた藤川監督は「本当に誇らしい」とたたえた。チームは今季24度目の完封勝ちで、同最多タイの貯金24。マジックは2つ減って「26」となった。節目の記録にも「いつも通りです」と表情を変えなかった石井。どんな逆境にも打ち勝ってきた男が、歴史を変える。(直川 響)