◆第107回全国高校野球選手権大会第9日 ▽2回戦 仙台育英6―2開星(14日・甲子園)

 開星初の甲子園連勝はならなかった。4失策と乱れて逆転負け。

野々村直通監督(73)は「弱い方がミスしたらダメ」と悔やみつつ、「相手にされない危惧があったが、初回に点を取れてあっぱれでしょう」と、22年の覇者に食らいついたナインをたたえた。

 2010年センバツで21世紀枠の向陽(和歌山)に敗れ、「腹を切りたい」などと発言して辞任。山内弘和監督が率いて、同年夏の1回戦で「世紀の落球」から逆転負けした相手が仙台育英だった。当時は「『俺が(甲子園に)連れて行ったぞ、感謝しろ』くらいだった」と指揮官。近年は自主性を重んじ、選手も14年ぶりの夏1勝で応えた。「連れてきてもらって、しかも1つ勝って。本当に感謝です」

 今大会の最年長監督。「状況を見ながら…」と遠慮気味に続投を表明したが、2年前の須江監督による監督講習会で誰よりもメモを取るなど、熱意を注ぐ。「でも、アーティスト(元美術教師)だから。キャンバスに筆を置きながら死にたい」。最後まで“野々村節”を響かせ、聖地を後にした。(瀬川 楓花)

▽野々村監督に聞く

 ―世紀の落球。

「俺は謹慎中だったから(笑)。蟄居(ちっきょ)していましたから、テレビで見ていました」

 ―“野々村節”を待つ人がいる。

 「コアなファンが絶対にいる。僕は、その人たちのためにしゃべっている。『こうだろ』って叫びたい人はいっぱいいるけど、時代の流れがね」

 ―広陵の暴力事案。

 「人間性ですよ。へたくそをばかにするとか、それは絶対にやっちゃいけない」

 ―SNS上での誹謗(ひぼう)中傷。

 「陰からものを言うのは卑怯だといつも思う。うちは匿名で手紙が来たりするけど、『名乗れ』と。『我こそは出雲国の野々村であるぞ、いざ尋常に』ってね。『批判をするなら出て来い』と。お互いに」

編集部おすすめ