第107回全国高校野球選手権大会は21日、甲子園で準決勝2試合が行われる。ベスト4の各校は20日、兵庫県内でそれぞれ調整した。

準々決勝で今春センバツ王者・横浜を撃破した4強唯一の公立校・県岐阜商は、生まれつき左手の指が欠損している横山温大外野手(3年)が日大三(西東京)戦へ気合。“2年生新怪物対決”となる沖縄尚学の最速150キロ左腕・末吉良丞と山梨学院の最速152キロ右腕・菰田陽生(はるき)も、ともに夏は初の決勝進出へ闘志を燃やした。担当記者が、準決勝2試合の行方を占った。

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 4強全てV経験校は実に64年ぶり。準決勝2試合はともに魅力的なマッチアップになった。4校にはいずれもドラフト候補の3年生がいない(来秋の上位候補となる2年生の沖縄尚学・末吉、山梨学院・菰田らはいる)。いずれもチーム力を結集して、粘り強く勝ち上がってきた印象だ。

 低反発バット導入から2年目の夏。夏の甲子園の本塁打数はすでに昨年の7本を上回り10本となったが、23年の23本など、以前に比べると少ない。22、23年と比較すると、2割9分前後だった全体の打率は昨年、今年とも2割5分強。450点を超えていた総得点も昨年は308、今年は322に減った。一方、23年に165だった犠打数は昨年は179、今年は183に。

攻撃に関する数値は低さが目立ち、犠打などで手堅く打開を図るチームが目立つ。

 そんな中、日大三と県岐阜商はともにチーム打率3割超で、打力の高いチーム。打撃戦もあり得る。横浜撃破で波に乗る県岐阜商打線を、日大三のエース・近藤が最少失点に封じられるか。

 山梨学院は3試合で計31点と強打が際立つ。沖縄尚学はバッテリー中心の守り勝つチーム。左の末吉、右の新垣有でロースコアの展開に持ち込めるか。4強中、総合力では山梨学院が一歩リードとみるが、戦力と結果がイコールにならないのが夏の終盤戦だ。熱戦に期待したい。(加藤 弘士)

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