◆第107回全国高校野球選手権大会第14日 ▽準決勝 日大三4―2県岐阜商=延長10回タイブレーク=(21日・甲子園)
日大三(西東京)の前監督だった小倉全由さんは、同校の試合になると必ずアルプス席にいる。試合をしっかりと見るなら、屋根があって日陰のあるバックネット裏の方がいいと思うのだが、応援部隊と一緒に強烈な太陽光線を浴びている。
試合前の午前7時50分。吹奏楽部の部員たちに頭を下げた。
「暑いけど、どうぞよろしくお願いします!」
生徒たちの誰もが笑顔になった。
次はチアリーダーに。
「みんな、頼むわ!」
笑顔の素敵なチアリーダーたちの表情が、さらに輝くのが分かった。
そういえば日大三の吹奏楽部の演奏会では、野球部員が会場設営を手伝うと聞いたことがある。監督時代の小倉さんは「当たり前ですよ。僕らは普段、助けられているんだから、ちゃんとお返ししないと」と話してくれた。
2001年夏、2011年夏と2度の全国制覇。甲子園通算37勝。現在は侍ジャパン高校日本代表監督を務める掛け値なしの名将だが、気さくな人柄は変わらない。
士気が上がったアルプスは熱い応援で、14年ぶりの決勝進出を後押しした。