◆米マイナー3A タコマ7×―6オクラホマシティー=延長10回=(20日、米ワシントン州タコマ=チェニースタジアム)
ドジャースの佐々木朗希投手(23)が20日(日本時間21日)、傘下マイナーの3Aオクラホマシティーで敵地のタコマ戦に先発し、4回途中で60球を投げて3安打2失点(自責1)、2奪三振3四球で降板した。最速は97・8マイル(約157・4キロ)だった。
メジャー1年目。開幕ローテ入りし、5月3日(同4日)の敵地・ブレーブス戦では7試合目の登板にして初勝利をつかんだが、9日(同10日)の登板を最後に右肩インピンジメント症候群のため負傷者リスト(IL)入り。ノースロー期間もあって離脱は長引き、8月14日(同15日)にマイナーで97日ぶりにようやく対外試合に復帰した。
復帰戦では、2回0/3で41球を投げ6安打3失点で、予定されていた3イニングを投げきれず、最速も95・7マイル(約154・0キロ)止まり。慣れない球場とあってスピード表示の場所が分かっていなかったこともあって、本来の球速が出ずにロバーツ監督も心配そうだったが、中5日で約3・4キロも最速を上げて、状態が上がっていることを見せた。
朗希の代名詞といえば、なんといっても「剛速球」。大船渡高時代から最速163キロ右腕として注目され、プロ入り後も最速を165キロに更新するなど、いとも簡単に160キロ以上のボールを投げ続けてきた。だが、24年頃から球速低下が指摘されはじめ、今季もメジャーの試合で160キロが計測されたのは、東京ドームで行われたデビュー戦の1試合だけ。離脱前最後の2登板は直球の平均が94・8マイル(約152・6キロ)にまで落ちた。
まだ復帰へのリハビリの段階。この日は「出力に重点を置いた。試合前は、フォアボールを何個出してもいいから強く投げよう」とテーマを設定。
もちろん、100マイル(約161キロ)、160キロという大台への意識はある。速球は朗希の代名詞であり、原点でもある。それは今でも変わっていない。
「今すぐ出るかどうかはわかんないですけど、段階的にもよくなってきてますし、まだ自分の中でこうできたらいいなっていうところもあるので、そういったところが噛み合ってきたら、投げられる数字だと思う。1、2年ちょっと(右肩などのコンディションが)不安定になった分、そこを取り戻すのは時間がかかるかもしれないですけど、そこはできると信じて、今やっていることを継続したいなと思います」
その一方で新球のカットボールやツーシームにも挑戦。右肩への負担なども考慮したフォームも模索し、ウェートトレーニングなどのグラウンド外でのトレーニングにも積極的に着手し、新たな挑戦もしている。
「一度崩れてしまったということでもありますし、感覚だけでやってきたわけではないんですけど、それだけ自分の中で思うように投げられていた時期もあって、その中で同じようにやっているつもりができなくなっているところを、なんでそれができないのかとか、自分はなんでできているのかというところをより言語化ができるようにとか。あとは、なんでか頭の中で理解しながら投げられるように今やっているので、それができたら技術的に、パフォーマンス的に沈むことも少なくなると思いますし、今はほんとに苦しい状況ではあるんですけど、ここを越えたらすごく楽しみな部分もあるので、ここが一踏ん張りかなとは思っています」
160キロ。投手のレベルが上がり、球速も球界全体でアップしているとは言え、ほんの一握りの投手しか届くことの出来ない大台だ。
「パフォーマンス的にはまだまだ普通にいけると思う。健康面の不安もないですし、技術的にもいい感じできているので、ここは最後あと3、4マイル(約5~6キロ)ですか。
2001年11月3日生まれ。メジャー1年目でまだ23歳だ。なかなか順風満帆に進んではいかないが、朗希は少しずつ前進している。