神奈川代表・横浜の夏の甲子園初戦となった8日の敦賀気比(福井)との1回戦。アルプスには意外なメンバーの姿があった。
チームの中心打者・金本貫汰(3年)は兵庫県尼崎市出身。「中村と柴田が僕の家に泊まって、今日一緒に来ました」と、3番を打った中村龍之介(3年)、主将の柴田元気(3年)、さらに大阪出身の森晴太郎(3年)も合流し、4人で横浜の応援に駆けつけた。応援団からメガホンを受け取ると、ライバルたちへ声援を送った。
試合は横浜が前半で5点を奪い、先発の織田翔希(2年)が完封勝利。金本は、「さすがっていう感じ」とスコアボードを見つめつぶやく。「ライバルとして3年間戦ってきて、応援したいと思えるようなチームです」と横浜ナインをたたえた。中村は、横浜ナインへの感謝を述べた。「横浜高校がいたから、高いモチベーションを持って野球ができた」。
横浜は、19日の準々決勝で県岐阜商(岐阜)に敗戦。春夏連覇を目指した旅路は、道半ばでついえることとなった。横浜の阿部葉太(3年)、東海大相模の中村は大学進学を明言。
この日、金本が阿部へと語った思いは、次のステージで戦う阿部だけでなく、次世代を担う横浜の選手たちにもつながる言葉だった。「圧をかけるわけじゃないですけど、期待が大きい分それをはねのけて強さを見せていくことが、横浜高校っていう名前の力が強くなるのにつながると思う」。王者・横浜の挑戦は続き、東海大相模はリベンジを誓う。多くの高校は、打倒横浜、打倒東海大相模を掲げて練習を重ねる。激戦区・神奈川は、競い合ってさらに磨かれていく。(古澤 慎也)