◆第107回全国高校野球選手権大会第14日 ▽準決勝 沖縄尚学5―4山梨学院(21日・甲子園)
沖縄尚学は山梨学院に逆転勝ちで初の決勝進出となった。
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打順は4番を外された。
山梨学院の左腕・檜垣瑠輝斗が投じた初球。狙っていたスライダーが甘く入ってきた。快音を残し、大きな飛球が左中間へ。1点差に追い上げると、二塁ベース上で右の拳を大きく2度振り下ろした。「自分のせいで失点し、末吉もマウンドを降りた。取り返したいという気持ちが実を結び、感情が爆発しました」。同点の5回1死満塁の守りで三ゴロの捕球に失敗し2者が生還。さらに先発の2年生エース・末吉良丞(りょうすけ)は、6回途中で降板した。
試合を決めたのは、3番から5番に下がった比嘉大登だ。同点の7回2死三塁のチャンスで、しぶとく右前へ落とした。「悔しさが出た一打だと思う。当たっていなかった2人の打点が重なって勝てたので、良かった」と喜んだ。試合前のチーム打率は2割1分1厘。「3、4番にプレッシャーがある」と感じた比嘉公也監督(44)は、準々決勝の2、8番と投手の9番以外の打順を組み替えた。その結果10安打を放ち、つながりも出て逆転勝ち。初の決勝進出を決めた。
指揮官は、沖縄尚学のエースとして99年センバツを優勝し、沖縄勢に初の日本一をもらたした。08年には監督でセンバツV。沖縄の野球界をリードしてきた一人だ。同じサウスポーで、手塩にかけて育てた末吉は「点を取られたあと、先輩方がカバーしてくれた。
◆2010年夏の興南 「琉球トルネード」の異名をとったエース左腕・島袋洋奨を中心に、沖縄県勢史上初となる夏の甲子園制覇を達成。明徳義塾、仙台育英などの強豪を退け、準決勝の報徳学園戦では0―5から逆転勝ちした。決勝では一二三慎太(元阪神)らを擁する東海大相模に13―1で大勝し、史上6校目の春夏連覇。深紅の大優勝旗が初めて沖縄に渡った。なお、県勢のセンバツ初Vは1999年の沖縄尚学。