◆パ・リーグ 日本ハム0―10オリックス(21日・エスコンフィールド)

 余力を残し、責務を全うした。オリックス・宮城が復帰戦を白星で飾った。

「この調子でみんな打ってほしいし、もっともっと勝ちたい」。2ケタ10点の大量援護にも支えられ、6回を無失点。今季の5勝はすべて、4点以上の援護を守ってつかんだものだった。

 序盤2回で8点をリードした。「普通だったらやらないことをしないといけない」と攻撃が長いだけ、ベンチ前で肩をつくる準備に苦労した。集中力を保ち、直後に招いた2回2死満塁のピンチでは、水野を低め直球で見逃し三振。「0(無失点)を刻めたところは、自信としてやっていければ」と少し胸を張った。

 7日の楽天戦(楽天モバイル)で下半身のコンディション不良を発症。イニングごとに状態を確認されたが、5回までは志願で投げ抜いた。「先発として最低限の最低限。自分の意思でマウンドを降りたくない」と尊敬する山本(ドジャース)に学んだ姿勢を貫いた。

 復活登板にはひそかな楽しみもあった。

7月の球宴で日本ハム・レイエスに呼ばれて声をかけられた。「俺がメジャーで対戦した投手の中でも、ミヤギの球は5本の指には入ると思うよ」。通訳を介した言葉でも「真剣勝負をしよう」と対戦を重ねるごとに認め合うようになった2人。この日は2安打されたが、しのぎを削る間柄が向上心に磨きをかけている。

 4回は野村に89キロのスローカーブを二塁打され「若月さんのせいです(笑)。ちょっと低く投げて、単打にしないと」と課題も持ち帰った。連敗を2で止め、4位・楽天とも3ゲーム差に拡大。さらに万全を期すため、22日に一度登録を外れる可能性もあるが「全く変わらないです」と、目指すのはあくまでも優勝と言い切った。25日に24歳の誕生日を迎える年男のエース。大事なシーズン最終盤で、無双の準備を進める。(長田 亨)

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