阪神・下村海翔投手(23)が完全復活目前だ。23年ドラフト1位右腕は東都7人衆の一角として即戦力と期待されて入団したが、昨年4月に右肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)。

リハビリを経て、今月17日に入団後初の実戦形式となるシート打撃で、自己最速タイの153キロを計測した。この日は2度目のシート打撃に臨み、待ちに待った実戦デビューが刻一刻と近づいている。

 そこに立てたことが何よりもうれしかった。阪神・下村が17日、2軍施設のSGLで入団後初めて実戦形式となるシート打撃に登板。制球面で苦しんだが、いきなり自己最速に並ぶ153キロを計測した。「ストライクゾーンがなくなりました(笑)。全部上の方にいっちゃったけど、出力は出せた」と安ど。最後に「痛みがなかったことが一番良かった」と付け加えた一言が偽らざる本音だ。

 23年ドラフト1位。巨人・西舘、西武・武内、広島・常広ら東都7人衆の一角で即戦力として期待されたが、昨年4月に右肘内側側副じん帯再建術を受け、リハビリを続けてきた。「入団して何もできず、何してるんやろうって」。もどかしい日々は肉体改造に着手した。

特にクリーン(バーベルを肩の高さまで引き上げる動作)を重視。術前の最高105キロから120キロまで持ち上げられるようになり「体が強くなった。出力が出るのもリハビリの成果かな」と実感する。

 つらいリハビリは頼れる先輩たちに支えられた。島本、高橋、才木らが同じ手術を経て、1軍で活躍する姿が何よりも励み。「先輩たちのおかげで沈んだ時もリハビリを頑張れた」。17年目右腕・西勇はポジティブなアドバイスをくれる存在。シート打撃で制球が乱れ落ち込んだが「西さんは『最初はそういうこともあるから、出力が出たことに合格点あげたらいいんじゃないか』と言ってくれた。すごくスッキリしました」と感謝する。

 この日は術後2度目となるシート打撃に登板。目標に掲げる今季中の1軍登板へ向け、着実にステップを踏んでいる。「今年、初勝利できるように頑張りたい」。

プロ初登板のXデーは近づいている。(直川 響)

 ◆下村 海翔(しもむら・かいと)

 ★生まれとサイズ

 2002年3月27日、兵庫・西宮市生まれ。23歳。174センチ、69キロ。右投右打

 ★球歴 小学3年時に甲武ライオンズで野球を始め、甲武中では宝塚ボーイズに所属。九州国際大付を経て、青学大へ進学。23年日米大学野球でMVPを受賞

 ★ライバル 青学大では楽天・中島、広島・常広と同期。同じ右腕の常広はライバルで「あいつはすごいけど、投げ合ったら勝ちたい」

 ★好きな芸能人 元乃木坂46の女優・齋藤飛鳥。ドラフト翌日には「1位指名おめでとうございます」などとインスタグラムのストーリーズで祝福を受けた

 ★座右の銘

 「推進力」

 ☆好きな食べ物

 ラーメン

 ★猛虎魂

 甲子園のお膝元・西宮市出身で幼少期から阪神ファン

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